二次創作SS『魔法少女リリカルなのは ~定められし運命~』
<サイドストーリー 悲劇の少年>
自分を養って家族同然のように育ててくれた義母さんや義父さんを失った。
……そして、自分を本当の兄のように慕ってくれていた義妹までも一瞬を失った。
……終いには自分の命までをも失った。
自分の非力さに今更ながら嘆いた。
自分の無力さに今更ながら気付いた。
周りには喧嘩で自分に勝てる、いや、対等に渡り合える奴なんて数人しか存在しなかった。
……しかし、幼かった智哉へ現実と言う名の世界はそんな甘いものでは無いのだ、と今更突き付けたのだった。
≪…………さい。≫
……ん?……誰?……誰かが僕を…呼んでいるの?
≪……きて下さい。≫
……ゴメンね…、……上手く聞こえないよ…。
≪…起きて下さい。≫
重い瞼を開ける。
と、そこはとても静かな森の中だった。
智哉は辺りを見渡す。周りには沢山の木々。
そして、自分の正面には、見たことも無い輝きを放ち後ろが透き通って見える程の美しい宝石が宙に浮いていた。
智哉は不思議そうに宝石を見つめる。と、声がした。自分を起こそうと掛けられた声だった。とても優しく、心が安らぐ声の持ち主。その声に反応した智哉は辺りをグルリと見渡すが、智哉には何処から話し掛けられているのか全く気付かなかった。
≪ここです、私は貴方の目の前にいますよ。≫
優しい声の持ち主である、少女は智哉の目の前にいると言う。智哉の目の前にあるのは宝石。不思議そうな顔が更に歪む。そして、
「……これが、君?」
と一言尋ねる。宝石に向かって。すると、
≪はい、そうです。……では改めまして、初めまして、私の名前はアイーシア・ラグナロクと申します。これからはアイーシアでも、ラグナロクでも構いませんので。≫
そのように宝石の少女は答える。確かに言われてみれば宝石から声がする気がした。
彼女が自己紹介してきたので、納得した顔で智哉もそれに応える。
「僕は神崎智哉。宜しくね、ラグナロク。」
笑顔で答える智哉にラグナロクは、
≪はい、宜しくお願いしますね、智哉様。≫
そう話す。互いに軽い自己紹介が終わると、
≪今貴方の目の前で輝いている宝石は『ターコイズ』と言われています。……とりあえず、挨拶はこれ位にしておきましょうか。時間は余り残されてはいませんので。≫
真剣そうな声で話し掛けられたので、智哉も真面目に聞く姿勢になると、
≪単刀直入に言いますね。貴方は他人を守れる力が欲しいですか?≫
「……欲しい。でも、僕はもう……」
即答するが、最後で言葉が詰まる智哉。少女は智哉が何を言いたいのかは解っていたので続ける。
≪欲しいのであれば、私が貴方の新たな力となりましょう。命も新たに授けます。………但し、生きていられるのはとある事件を解決して貰う間だけですが……。≫
そのように、少女は言って来た。智哉はというと、疑問に思った事を口にする。
「……僕の家族を、僕を養ってくれた義母さんや義父さんの仇を取れる力なの?僕を、僕なんかを慕ってくれた大切な、とても大切だった妹の仇を取る事が出来る力なの!?」
話していく間に目から涙が溢れ出し、そのまま顔を伝って地面に滴り落ちる。少女はその姿に対し、
≪貴方の周りの人達を二度と失わないように、傷付けられないようにするのは貴方次第です。しかし、私にはその力の源を授ける事が出来ます。≫
その言葉に智哉は疑う要素を見出さなかった。何でも良い、もう誰も傷付けさせないためにも、とそう思い、
「…分かったよ。どんな条件も僕には関係無い。生きる事が出来るなら。他人を守れる力が手に入るなら。……そして、何より自分が強くなるためにも!!」
その言葉に迷いは無いと判断したラグナロクは言う。
≪……分かりました。契約成立です。それでは智哉様、私を手で触れてください。そして貴方が扱うためのデバイスを頭の中でイメージしてください。≫
言われた通りに触れるとスーっと何かが体に染み込む。そんな心地良い感覚に囚われながら、
「……ラグナロク、デバイスって何?」
と、素直な疑問を口にした。そんな質問が来る事を予測していたかのように、
≪デバイスとは、簡単に言うと武器です。智哉様がこれから戦っていくための、人を守っていくための物です。武器の中で一番好きな形を想像しても構いません。≫
そう言われた智哉は、うーんと唸り、
剣先が二つに分かれていて、かつ柄の部分まで真っ黒な、それこそ漆黒の闇の中に存在しているかのような武器をイメージした。
≪デバイスの形状を認識しました。後は、智哉様が着るジャケットアーマーをイメージしてください。ジャケットアーマーとは、簡単に言えば鎧ですね。とは言っても、鎧だけでなく魔導士が着るような衣でも、普段智哉様が着ているような服であっても勿論構いません。≫
またうーんと唸りながら、
「本当に何でも良いんだよね?」
そうラグナロクに尋ねると、はい。と一言で返ってきた。
「…んじゃ、これ!」
≪ジャケットアーマー認識完了しました。……では、いきなりで申し訳ないのですが、現実世界でお会いしましょう智哉様。≫
ラグナロクが話すと光が辺り一面を眩しく包み込む。目が開けられなくなった智哉はそのまま意識が飛んで行った……。
気が付くと、血溜りの上に自分がいた。そして、カチャカチャと音も一緒に鳴る。自分の体を見ると漆黒の鎧に包まれているではないか。さっきのあれは幻では無かったのかと疑問に思っていると、何処からともなく、
≪智哉様。ご自分でイメージした物はどうですか?≫
と、少女――アイーシア・ラグナロク――の声がした。
「・・・うわぁっ!びっくりした~。も、もしかして、ラグナロク……なの?」
と智哉。ラグナロクはクスクスと笑いながら、
≪はい、そうですよ。≫
とだけ。それに対して智哉は、
「……もう、脅かさないでくれる?」
まだ少々戸惑い気味だった。そんな智哉に、
≪犯人はまだ居ますね。そんなに遠くには行ってません。捕まえるなら今のうちです。≫
その言葉に直ぐに反応した智哉は、
「……どうしたら良い?」
と、聞く。ラグナロクは言う。
≪今智哉様の頭の中に、結界を発動させるための呪文をお教えしました。それを使って外に逃がさないようにしましょう。捕まえるのはその後です。≫
智哉は解ったと言うと、生まれて初めて魔法を行使した。途端に家の辺りは結界で張り巡らされた。犯人は戸惑い、
「…おいおい、魔導士なんて聞いてないぜ!?」
焦りが生じていた。そこに、ジャストなタイミングで智哉が現れた。漆黒の鎧に身を包んで。
「……お前だけは!……逃がしはしない!!」
奴は、さっき確かに殺った筈だった。なのに何故生きているのか?訳が分からず動揺していたが、犯人は遂に本性を現した。彼もまた魔導士だったのだ。
「……こうなったら仕方ないな。今度は本気で殺す!!食らえ、業火の火柱、フレア・ブラスト!!!」
地面から地獄の業火が柱となって智哉を巻き込んだ。すかさず、追撃。
「雷の奔流、ライトニング・バースト!そして、これで終いだ!!音速の氷風、ソニック・ブリザード!!!」
三つの魔法が重なり、大爆発。
「……ふん、こんなもんだろう。」
暫くして、煙が晴れてくると、そこには何と無傷で浮いている智哉の姿があった!
「……ば、馬鹿な。オレはこれでもAAクラスの魔導士だ。無傷なんて…………有り得ねえ!!」
犯人は目の前で起きている驚愕の事実を認めようとはしなかったが、これが現実だったのだ。智哉はこの時点で既に少なく見積もってAAAクラスの総合力はあったのだから。
「……来ないなら、終わりにしようか。僕の妹をあんな風に残酷な形で殺した罪、死を以て償って……いや、殺すだけじゃ足りない。義父さんや義母さんの分もあるからね。跡形も無く、血一つ残さないでこの世から消えて貰おうか!!!」
そう言い放って、魔方陣を展開。男――犯人――はその威圧感溢れる言葉に腰を抜かしてしまい、その場から逃げようにもまともに動く事が出来なくなっていた。
「……受けよ。神の怒り、ゴッド・フューム!!」
刹那、男は叫んだ。
「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!」
その声は魔法の消滅と共に消えて無くなった。名実共に、この世からその男の存在が消えた瞬間だった……。
ふぅ、と一息ついた智哉は、本来の自分の姿に戻る。少しして、ラグナロクに言う。
「……こんな事はもうこれっきりにしたい。誰にも僕の悲しみを、寂しさを味わわせないためにも。」
≪……そうですね。そのための『力』ですから。≫
ラグナロクはそれだけ言って、智哉を見守る事を決めたのだった。
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一度失った命を、ラグナロクと出会ったことによって、新たな命を授かり第二の人生を歩み始めた。
もう誰も何も失わないように。もう誰も傷付けさせないように。
そう自分に、ラグナロクに、そして神に誓いを立てて。
~後書き~
はい、主人公である少年時代の智哉君に起きた事件の話でしたw
今回の内容は、第3話で過去の自分(智哉)を思い起こす場面の追加というか、補うためのものですwそして、プロローグでの回想シーンの続きでもありますwここで、どうやって智哉がデバイスを手に入れたのかを読んでいる方に知って貰おうと書いたわけですw
いかがでしたかね~?w
名も無き世界へようこそ。 ここには主に日常の日記、野球関連の事柄、アニメの感想を載せています。 また、最近二次創作SSも書き始めました。 良かったら読んでいってくださいw 読んだらコメント書いてくれるとメチャ嬉しいですw 宜しくお願いしますwm(_ _)m
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