<第2話 漆黒の騎士>
フェイトは驚きと恥ずかしさを隠せず、俯いたままだった。何せ今現在自分は、漆黒のジャケットアーマーに身を包んだ青年――神崎智哉――にそれこそ<お姫様抱っこ>をされた状態なのだから無理も無い。
「宜しければ、お名前をお聞かせ願えたいのですが?」
お姫様抱っこの状態でお姫様――フェイト――に問うとフェイトは、
「………ぇと、フェイト・テスタロッサと言います。………それに私、お姫様じゃないです。」
抱っこされた状態で、消え入りそうな程の小声で智哉に話す。そんな小さな声でも智哉には十分聞こえていた。少し間を置いてフェイトが智哉に、
「……お名前伺っても宜しいですか?」
と、これも小声ではあるが礼儀正しく問う。それに対し智哉は、
「オレの名は神崎智哉。以後、お見知りおきを。フェイト姫。」
と、智哉は赤面顔が今でも続いているフェイトの顔を(本当に可愛い子だな~。)と思いながらマジマジと覗きつつ、小声には小声で応えようと囁いた。
智哉はフェイトをそっと自分の傍に下ろし、少女と謎の青年の方を向き、睨み付けた。
「………。……私の招雷弾をそこまで容易く受け止めたのは貴様が初めてだ。私はこれでも管理局に所属するSSランク魔導騎士なのだがな……貴様、一体何者だ?」
管理局に所属していると言う自称SSランクの青年は、逆に智哉を睨み返して問う。
「……名乗る必要は無い。オレは相手の言うことに従うのが嫌いでね。………それに、お姫様みたいに可愛い少女へ寄って集るなんて最悪だな。」
フェイトの肩を極々自然に抱きながら青年に向かって言う。肩に智哉の手が優しく触れた刹那、ビクッと体を震わせ、赤面していたフェイトの顔が更に紅く蒸発してしまいそうになっている事に対し、智哉は気付くことは無かった。そんな状態で智哉は、
「そもそも、人に名前を聞く前に、まず自分から名乗れってどっかで教わらなかったのか?」
青年は虚を突かれ、自分に言い聞かせた。何故、それに気付かなかったのか、と。そして、
「……それは失礼をした。しかし、直ぐに戦闘が終わるであったろうからな、必要無いと判断したまでだ。」
と言い訳染みた発言の後、
「……ならば、改めて自己紹介といこうか。私は時空管理局所属空軍総部隊長、『神速の如き白銀の稲妻』宮沢和麻だ。そして、我がデバイスの名は『雷帝の神剣、カラドボルグ』だ。」
カラドボルグと呼ばれた剣を高々と頭上に掲げ改めて自己紹介をする和麻。そのド派手な紹介とは別に、智哉は驚きを隠せずにいた………そう、別の理由で。
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『みやざわ かずま』その言葉に耳を疑った。子供の頃、何時でもどんな時でも一緒に居た四人の中の一人で、自分にとって最高の友人であり、好敵手である『宮沢和麻』と名前(読み方)が全く同じだった。
(……同じ名前(読み方)でも、字が違うかもしれないじゃないか。何を動揺しているんだ。まだ、『アイツ』だと決まった訳じゃないんだ。……落ち着け、オレ……。)
心の中で自分の同様を何とか抑えようと必死になる。そんな時、和麻は智哉に、
「何をしている、次は貴様の番だろう。私の自己紹介はとうに済んだんだからな。」
そう言って急かして来る。ここでもし、自分の名前を明かすとどうなるか、その事で頭が一杯の智哉を更に混乱させる。さっきの様子とはまるで違う智哉に気付いたフェイトは、
「……どうしたんですか?」とさっきまでの蒸発しそうな程に紅かった顔とは打って変わって、本当に心配そうな顔で、心配そうな声で聞いてくる。 フェイトに気付いた智哉は、
「……大丈夫。姫は何も心配する必要は御座いません。」と、さっきの口調でフェイトの頭を優しく撫でながら答えた。そして、
「……遅れて済まなかったな。改めて、自己紹介だ。オレの名は神崎智哉。所属等は別にしていない。そして、………出でよ我が相棒、『終焉の聖剣 ラグナロク』!!!」
その名を叫ぶと、魔方陣が展開された。凄まじい魔力の波動が辺りに撒き散らされる。中心から魔方陣により召喚された漆黒に染まり、刀身が二つに分かれている未だ嘗て見たことも無いような剣を智哉は握り締め、
「これがオレの相棒であり、デバイスのラグナロクだ。オレの姿の一部始終を見た者は皆こう言う、『全てを終焉へ導く漆黒の闇』と。」
さっきまでの調子や様子とは180度変わり、智哉からは遠くに居ても、魔導士ならばビリビリと感じさせる程の魔力を辺り一面を放ち支配していた。しかし、その智哉の直ぐ傍にいたフェイトは、何故かそんなものは一切感じはしなかった。
その凄まじい程の威圧感溢れた自己紹介に、今度は和麻が驚いたのだった。
「……何故、お前がそんな格好をしてここにいる?」
智哉に和麻は恐る恐る尋ねると、
「可愛いお姫様に二人がかりってのが、オレの気に障ってね。」
智哉は傍にいたフェイトの頭を優しく撫でながら言う。すると、
「………まともに話す気が無いのなら、私がお前に勝って吐かせてやるまでだ!!」
和麻はそう言い放ち、刹那、
「疾きこと雷の斬撃!疾風迅雷!!」
和麻はそれこそ閃光の如き速さで切り掛かって来た。智哉を薙ぎ払おうとしただけでなく、避けられた場合、そのままフェイトを捕獲しようと考えていた。むしろ、さっき放った一撃を片手で易々と受け止めた智哉に当たる事は無いと割り切って、最初から狙いはフェイトの方にあった。
智哉は咄嗟にフェイトをお姫様抱っこし、詠唱無しで転移魔法陣を展開、作動させ攻撃を回避しつつ、なのはの背後側に移動した。和麻の真の意図を読んだのかは判らかったが。
「……今のは危なかったな」
そう呟くと、抱きかかえていたフェイトを下ろして、
「フェイトはあの子と戦ってたんだろ?仕切り直して、やり合うと良い。今度は助けてやれないかもしれないぞ?オレはちょっと用事が出来たからな。」
と、手を握り、立てた親指を和麻に向けて言う。それに対しフェイトは、
「はい、もう負けません!」
決意の瞳で智哉に誓いを立てる。しかし、
「……それに……」
そう続けてすぐに俯いてしまった。不思議に思った智哉は、
「それに?」
と、聞き返した。俯いていたフェイトは、
「……負けそうになったら、あんな恥ずかしい格好をまたさせられちゃいますから。」
と、顔を紅く染めながら消え入りそうな声で答えた。
恥ずかしい格好とは何かを少し考えて、一つの答えに智哉は辿り着き、
「姫、お姫様抱っこなら何時でもして差し上げますよ?」
そう意地悪く、笑顔で一言だけ言い残し、和麻のいる反対側へ向かって行った。フェイトはその後姿に、「……もぅ。意地悪なんですから。」と囁いた。心の中では(有難う御座います。)と感謝の意を表しながら。そして、改まった表情でなのはの方に顔を、体を向けた。
~後書き~
第2話でした~w
いや~、今回は「なのは10話」の話にあたるのですが……、一話分で終わりませんでしたww
まあ、オリジナルの話が絡んでいるんで、当たり前と言えば当たり前なのですがねw
あ~、はいはい。って言われそうな内容でしたが、仕様ですwww
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