二次創作SS『魔法少女リリカルなのは ~定められし運命~』
<第5話 懐かしの顔>
グレアム提督の個室から出てきたオレ達は、廊下を歩いていた。
その時和麻が、
「智哉、お前と模擬戦をしようと思う。お前の実力を一度肌で感じてみたいと思っていたのでな。」
と、いきなり言い出した。
和麻のいきなりの提案にオレは、
「……はぁ?」
全くやる気がありません、と言うオーラ全快で答える。
すると、溜め息を吐きながらも和麻は、
「はぁ?じゃない。今ここでお前の実力をはっきりさせておけば、今後の対応もスムーズに行える。今まで出来なかった陣形やチーム等の戦術もこの模擬戦により生まれるかもしれんしな。」
と、模擬戦を受けるように強要してくる。
「オレの実力なら、前に見せてるじゃねーか。それにオレは戦いで人を傷付ける事はしたくない。っつーか、無闇やたらと戦う事は、余程の訳が無い限りしない主義なんでね。」
オレは和麻がこの程度の事で身を退く訳も無いのは百も承知の上で抗議した。
更に口を割るのかと思いきや、和麻は強行策に出てきやがった。
クロノに頼んでおいたのか、クロノが後ろからオレを押し、和麻がオレの腕を引っ張ろうとして来たのだ。
オレはその拘束を難なく解き、フェイトを抱き抱えて逃げようとするが、オレの足を止める一言が他でもないフェイトから放たれた。
「……あの、智哉さん。……その……迷惑かもしれませんけど、………私も智哉さんの模擬戦見てみたいです。……ダメ……ですか?」
フェイトはオレに抱えられていたため、自然と上目遣いになる。
そんな眼差しで見られるとこの前思った事が頭をよぎるじゃないか……。
「……はぁ。」
オレは深い深い溜め息を吐いた。
その溜め息にフェイトはオレが観念したと見て、苦笑している。
そして、オレ達は模擬戦を行うために闘技場並みの広さを誇る管理局の訓練場を訪れた。
「すまない、全員一旦この場を空けて欲しい。今から模擬戦を行う。非殺傷設定にはするつもりだが、局員に怪我をさせるのはお門違いだからな。」
和麻が声を発すると、その場に居た全員が和麻に向き直り敬礼の後、その場を立ち去ろうとする。
その時、
「良い機会だ。この模擬戦を観戦して行くと良い。お前達には良い経験となることだろう。それに、私やクロノの戦いを一度見てみたいと思っていた者も少なからず居るだろうからな。」
ここをいきなりの訪問で使わせてくれる代わりに、と言って準備を行う和麻。
「よし、準備は出来たな。」
「………マジで面倒なんだけど。」
「今更ここまで来て何を言っている。さっさと構えろ。」
和麻がオレのやる気の無い格好を正せと叱責する。
クロノもデバイスを構える。
どうやらオレVS和麻&クロノの1対2のようだ。
しかも、ギャラリーの多い事。
(……おいおい、そんなに楽しみなのか?この二人が戦うのは。オレは見せ物じゃないっての………。)
≪ふふ。仕方ありませんよ。智哉様がフェイト様の仰るお願いに弱いのがいけないんですから。≫
(……はぁ、ホントだな。………もしかしたら尻に敷かれているのか、オレ?)
ドッと大きな溜め息が出るオレに対して、
≪どうなのでしょうね?ですが、私は尻に敷かれているとは言わないと思いますよ。智哉様はご自身でそう感じるのですか?≫
と、アイーシアが聞いてくる。
(……う~ん、今はそんな感じはしないけど……。でもな、この状態がずっと続くと、もしかしたら……。)
おいおい、十歳も年下の子に自分から告白したは良いさ。
けど、このままだったら多分オレ尻に敷かれるぜ?
これってどうよ?
年上の威厳なんてもんは愚か、何処かの変態さんですか、オレは!?
そう思うと、
≪ふふ。ですが、大丈夫でしょう。智哉様が尻に敷かれる事は無いかと思いますよ。今のフェイト様は智哉様の傍にいて愛情を感じたいのだと、甘えたいのだと思います。フェイト様のお願いやお強請りは甘えの一つなのでしょう。何より、生みの親があの様でしたから。≫
(ああ、それは解っている。いや、本当に解っているなら尻に敷かれる事なんて気にしないか。……全く、オレもまだまだだな。)
アイーシアに助言を貰って自分を見つめ直すオレ。
フェイトの願いだから、と自分を奮い立たせる。
そして、和麻の声が響き渡る。
「これより、神崎智哉VS宮沢和麻&クロノ・ハラウオンの模擬戦を行う!武器は非殺傷設定とする。智哉か我々のどちらかがギブアップ又は戦闘不能となった時点で終了とし、時間は無制限!……では、試合開始!!」
こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。
そんな中、観戦用の部屋内では人で溢れていた。
フェイトやなのはは勿論、リンディやエイミィ、ユーノやアルフ等のアースラメンバーと、さっきまで訓練していた管理局の魔導師達がこの模擬戦を見ようと集まったのだ。
部屋の中では和麻やクロノの模擬戦の相手である智哉に関する情報を交換し合ったり、滅多に見ることの出来ない和麻やクロノ自らが行う模擬線を楽しみに待つ者達や、模擬戦の解説や実況をしようとする者達が居た。
フェイトやなのはを始めとするアースラ組みは、模擬戦の解説を行おうとしていた。
「智哉さんの戦いを見るのは久々で楽しみ~。」
なのはが早く始まってくれないかな~、と言った感じで嬉しそうに言う。
「そうだね、私も見たい。………でも、智哉さんに悪い事してしまったかもしれない。」
フェイトは嬉しそうな顔を一変させて呟いた。
呟き声を聞いたなのはが、え?と聞き返すと、フェイトは続ける。
「……智哉さん、和麻さんに意味の無い戦いは極力避けたいんだって言ってたんだ。戦う理由が無い限り、オレは人を傷付けたくは無いって。……それでも、私が見たいって言うと、渋々だけど仕方ないなって言ってくれた…。」
「そうなんだ……」
なのははフェイトの言葉に曖昧に返事を返す事しか出来なかった。
二人の様子を黙って見ていたリンディは、
「そうね、でも今回ばかりは仕方ないと私も思うの。この模擬戦によって彼の力量が和麻さんやクロノに直に伝わることで、今後の行動に役に立つでしょうから。」
と、優しくフェイトとなのはに言う。
リンディの言葉を聞くまで暗い顔をしていたフェイトが、決心した顔付きになり、
「……この模擬戦終わったら、ちゃんと謝ろうと思うんだ。我が侭ばかり言って困らせて、辛い思いさせてしまってごめんなさいって。」
そう語ったのだった。
「スティンガースナイプ!」
≪Stinger Snipe≫
クロノの声が響くと同時に青白い光の線が智哉さんを襲います。
智哉さんはクロノの攻撃を横にヒラリと回避しますが、その光線はなんと180度曲がり、再び智哉さんを背後から襲います。
背後に何かを感じ取ったのか、智哉さんはクロノの下へ急加速して突っ込んで行きました。
デバイスを前に構えるクロノですが、智哉さんの意図に気付くのには少々遅かったようです。
クロノの目の前で更に加速して来た智哉さんは、一気に真上に上昇したんです。
直後、スティンガースナイプはクロノに直撃して爆発しました。
私は智哉さんを目で追っていたので、和麻さんに気付きました。
和麻さんは智哉さんが上昇する事を見越していたのか、上空で魔方陣を展開して、
「雷帝の怒りを受けよ!裁きの魔弾、招雷弾!!」
雷を纏った巨大な球体が智哉さんの目の前に。
私もあれを一度目の前で見たことがある。
あの時はもうダメかと思った。
あれ程の魔力が篭った一撃をまともに受けてしまったら、意識が飛ぶどころか、もしかしたら、ううん、確実に全身が蒸発さえするだろうと思います。
何せ和麻さんの魔力ランクは私から見てもSSランクは確実だ。
でも、智哉さんはあの攻撃を一度防いでいるのです、それも片手で。
けれど、あの時は私と一緒に落下しながらだったから出来た事かもしれない。
今回は急加速したままで急上昇した所を目の前で狙われているんです。
いくら智哉さんが強いと言っても、これを避けるのは困難を極めると思いました。
しかし、智哉さんはその強大な魔弾を簡単に回避してしまいました。
「……智哉さん、本当に凄い。」
「……うん。もう、何て言うか、とりあえず凄い!」
私となのはの言葉にエイミィさんが反応して、
「いやぁ、もうあの機動力だけで反則だね。物理法則を無視してるって感じ。」
本音丸出しな解説をします。
それに便乗するように母さんも、
「本当ね~。クロノがあんなに翻弄される所を見れるなんて。」
そう言いながらお茶を啜っています。
瞬間、地面に球体が衝突し大爆発!
訓練場全体に溢れ出す光が眩し過ぎて、暫く目を開ける事が出来ずにいました。
光が消え、目を開けた私達観戦組が見た光景、それは……
「……出来るだけ、速攻で放ったんだがな…!」
剣と剣とがギリギリと音を立てながら、和麻がオレに話し掛けていた所だった。
オレは和麻を振り払い2,3歩後退すると、
「喰らえ!」
≪Blaze Cannon≫
上から叫び声と共に放たれた奔流が向かって来る。
「…ちぃ!」
奔流をギリギリの所で回避したが、体勢を崩した。
その隙を逃さず、和麻がカラドボルグに雷を纏わせ薙ぎ払って、波動を放つ。
波動は横にとても広く、そのまま薙ぎ払われた勢いでオレに向かって来たのだ。
それも猛スピードで。
(……おいおい。避けられるのか、これ!?和麻の奴、本気じゃねーかよ!幾ら非殺傷設定をしてあるとは言え、今までの攻撃もそうだが一般の魔導師なら確実に致命傷になるぞ!?)
≪智哉様、どう致します?あのお二方によるあれ程の攻撃を、それも連続で仕掛けられたら幾ら智哉様であっても、お一人で回避能力をこれ以上上昇させるのは限界かと思うのです。諦めて攻撃に転じるか、私の力を解放させるかされた方が。≫
(………いや、それはダメだ。あいつ等の魔力を出来る限り消耗させて、最小限の一撃で終わらせるんだ。)
アイーシアと思念通話をしながら急降下によってまたもギリギリで回避した。
崩れた体勢の状態で無理矢理回避行動を取った為に、体への反動が重く圧し掛かる。
その一瞬だった。
≪Break Impulse≫
気付いた時には光に包まれ、大爆発。
オレはクロノの放った魔法をもろに受けた。
「智哉さん!!」
クロノの直撃を受けた姿を見た私は観戦室で叫んでしまいました。
「……少しは効いたか?」
「………」
クロノの疑問系の手応えに、和麻さんは何も答えません。
煙が晴れると、そこには無傷の智哉さんがいました。
「えぇ~。今の直撃でノーダメージ?どう考えても絶対にオカシイでしょ!?」
すかさず突っ込みを入れるエイミィさん。
突っ込みたい気持ちも解る気もしますけど、それよりも私は智哉さんが無事で良かった、と言うのが正直なところです。
ふと隣を見ると、なのはも智哉さんの規格外な動きに苦笑いしていました。
「………貴様、何時まで防御や回避を続けるつもりだ?…今のクロノの一撃で漸くデバイスの力も使った様だしな。」
……え?
和麻さん、それって本当なんですか!?
智哉さんが今の今までの回避行動を、デバイスの力を使わず自分一人で!?
「……うそ……でしょ……!?」
「智哉さん……凄過ぎ……」
「ハハ、底が見えないってこういう事を言うんだね……。」
「……アイツ本当に……人間なのかい?」
「うぅ~ん、ますます智哉さんには惚れるわね~wこれはもう本局に推薦するしかないわね!」
エイミィ、なのは、ユーノ、アルフ、母さんがそれぞれの感想を漏らします。
私も正直言葉が見つかりません。
観戦室でそんな感想が飛び交う中、智哉さんが、
「……それは無い。現に今こうして無傷でいられるのもアイーシアのお陰だしな。」
智哉さんが和麻さんの言葉に一瞬戸惑ったように見えたけれど、普段通りに装って話します。
すると、
「…………喰らえ。」
≪Thunder Rage Shining Force Burst≫
和麻さん!?
刹那、智哉さんに無数の雷が降り注ぎました。
智哉さんはその場から高速移動しようとした様ですが、拘束されていたために身動きが取れずにいます。
(魔方陣の展開も無いし、詠唱もしないでいきなり!?……それに、これは……!!)
そう、私の魔法『サンダーレイジ』に酷似していました。
けれど、これは私の『サンダーレイジ』とは雷の色や数、威力や範囲など全てが桁違いだったんです。
直後、放たれた雷が智哉さんを直撃してしまいました。
「あの一撃を受ければ、幾ら智哉さんでも堪えるでしょうね~。」
お茶を啜りながら冷静に解説をする母さん。
「艦長、でも今までの回避不可能に近い和麻さんとクロノの連携攻撃も難無く避けて来たんですよ?今回も実は………何て事もあるんじゃないですか?」
と、エイミィは母さんに意見しています。
その時でした。
智哉さんが力無くその場から落下して、そのまま地面へ叩き付けられるところを見てしまったのです。
「智哉さああぁぁぁぁあああああん!!!!!!」
私は窓ガラスに手をつき、思いっ切り叫んでしまいました。
観戦室に居た皆さんの目が私に向けられますが、そんな事を気にしている暇なんてありません。
智哉さんが、あの智哉さんが意識を失って地面に伏しているんです。
しかも、力無く落下までして。
そんな状態の智哉さんなんて初めて見たため、パニックになってしまいました。
私の大好きな智哉さんがピンチ。
それが心配で心配でいてもたってもいられない。
目から思わず涙が零れ落ちてしまった。
「智哉さん!智哉さん!!智哉さん!!!」
私は必死で智哉さんに届くようにと願って叫びます。
(……お願い!智哉さん、起きて……!!)
と、その時でした。
私の願いが天に届いたのかは判りませんが……
「…ふぅ、これで終わりだ。」
不意に智哉さんの声がしました。
(智…哉……さん!?)
私は声がした上のほうを見上げると、
「な!?」
「動かない方が良いぜ?お前も既にオレの罠に掛かってるんだからな。」
和麻さんが動こうとした所を、智哉さんがその行動を止める一言を言いました。
肝心の智哉さんはと言うと、クロノの背後からラグナロクを構えていたんです。
私達観戦室組は、全員智哉さんのとんでもない策略に度肝を抜かれてしまいました。
クロノが参った、降参と言う顔で、
「……ギブアップだ。悔しいが、完敗だ。」
そう言うと試合終了の合図が。
瞬間、観戦室からは訓練場に漏れ聞こえる程の大歓声が沸きました。
「智哉さんは本当に凄いね!」
「ホントだね!カッコイイよ!!」
「何もかもが規格外で、もう凄いとしか言えないね……。」
「これで、管理局の幹部はもう確実ね~w私も鼻が高いわ!」
なのはやユーノは智哉さんを褒め、エイミィは驚きで一杯、母さんは頬が緩みっぱなしです。
かく言う私はと言うと、
「……もぅ、智哉さんったら。……心配させるんですから。」
胸を撫で下ろしながら呟いたのでした。
「………僕達は全力でやった。…けれど、結果は完敗か。」
「……一度たりとも手を抜いた覚えは無い!連携も完璧だった筈!だが結果はこの様だ!俺達の一体何処に敗因があると言うんだ!?」
和麻がオレに怒鳴り散らす。
「……ったく、管理局の魔導師を指揮する人間が、自分の敗因を気付けないってのは、まだまだ甘過ぎる証拠だな。」
オレは呆れながらも和麻に対して言う。
和麻はオレに眼を飛ばしてくるが、気にせず話を続ける。
「あの時、お前がオレに手を抜いたと言ってただろう。その後お前はどうした?いや、恐らくその前からだろうがな。お前は全力で戦ったと言ったが、それは怒りに身を任せた全力であって、お前の澄んだ心で戦った全力では無い。それがお前がオレに勝てなかった理由だ。」
淡々と語ると、和麻はオレに何も言わず自分を見つめ直しているようだった。
(……フ。その辺りは流石総部隊長の地位を任されるだけはあるな。)
≪ふふ。そうですね。ですが智哉様?今日のようなとんでもない無茶は、今後一切いけませんよ?観戦室でフェイト様がまた涙を流されていたのですから。≫
(うっ……!それは言わないでくれよ、アイーシア。あのサンダーレイジを本当に直撃させられたら非殺傷設定であっても意識が飛んでたしな。)
そう、オレは和麻のサンダーレイジを受ける前、二人に気付かれないように幻術魔法を使っていたためにダメージを受けず、且つクロノと和麻にギブアップを言わせることが出来たのだ。
……だが、あの時は正直賭けだった。
和麻もクロノもオレとの会話に集中してくれていたから魔方陣を展開せず、声に出して詠唱せずに放つ事が出来た。
オレとあの場で会話をしていないクロノがもしかしたらと思ったが、何とか誤魔化せたのだった。
敗因を話したところで、オレの勝因を語ろうとした時だった。
「へぇ。幻術魔法も使えるなんてね。流石……と言った方が良いのかな、智哉?」
聞き覚えのある声。
声のする方を振り向くと、そこにはバリアジャケット、いや、あれは騎士甲冑だろう、を着てオレ達の傍まで近寄ってきた二人の魔導師が居たのだ。
「……久々だな、智哉。何年振りだ?」
「はぁ~、刹那は忘れっぽいな~。10年だよ。」
「……あれから最早10年経ったのか。月日はあっと言う間に経つものだな。」
風情に浸っている、明るいオレンジの甲冑を見に纏う青年と、蒼穹の甲冑に身を包む、女性のように澄んだ声で話し掛ける気さくな青年。
「……お前達、まさか、煉と刹那か!?」
「ハハ、覚えてたんだね、智哉。嬉しいな。」
「覚えていて当然だ。あの頃は何時でも何処でも4人で固まって、色々悪さもした仲なんだからな。」
「そうだね、あの頃が懐かしいや。智哉と和麻が毎日のように喧嘩しては僕が止めに入って、刹那が両成敗って感じだったもんね。」
オレの前で嬉しそうに昔話をする煉と刹那。
「あの頃は何も知らず、よく悪戯したな。本当に無邪気だったとオレも思う。」
そう言いながら、オレは過去を振り返る。
過去には余り良い思い出が無いオレにとって、それは数少ない心に残っている良い思い出だった。
「……ところで、何で二人とも騎士甲冑なんて身に着けているんだ?」
オレはふと思った事を口に出した。
すると、煉は答える。
「少しでも多くの人々が幸福に生きられるように、って思ったんだ。僕は、いや僕と刹那は既に魔導騎士となっていた和麻を見てしまってね。偶然だったんだけど、今思えばそれは必然だったのかもね。それが理由でこの世界に身を置く決意をしたんだよ。僕と刹那は魔導師の資質があるから挑戦してみたら?って和麻に言われてね。」
煉の話に刹那も首を縦に振る。
「それにしても智哉、お前も魔導騎士だったとはな。何時から管理局入りした?」
「管理局には正式にはまだ配属されてはいない。今は臨時でアースラ所属の魔導師達の護衛を任されているだけだ。」
刹那がオレに疑問を投げ掛けて来たので、オレは答える。
その時、
「智哉さあああぁぁぁあああん!」
フェイトが走ってオレの体にしがみ付いて来た。
一瞬驚いたが、オレは普段通りにフェイトの頭を優しく撫でた。
胸元で腕を回しているフェイトは、
「……もぅ、すっごく心配したんですからぁ。」
と呟くが、オレにはハッキリ聞こえた。
だからと言っては難だが、
「…ハハ、ゴメンなフェイト。悪かったよ。」
微笑みながら心配性のフェイトを抱き締めた。
オレ達の周りに沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは煉だった。
「…………え~と」
煉は突然オレの胸元へ飛び込んで来たフェイトに戸惑いを隠せないでいた。
それもそうだろうな。
オレとフェイトだけを包み込むように、何者も寄せ付けないバリアの如き別空間があったのだから。
「…………アハハハハ。よからぬ事を聞くけどさ、…………智哉ってロリコンだったっけ?」
グサッ!
オレの心に煉のとある一言が突き刺さった。
「……仕方無いだろ?この子を、フェイトを好きになっちまったもんは。今はフェイトを守る事しか頭に無いんだ。それが今のオレの生き甲斐なんだよ。」
オレは後から冷静に考えると、途轍もなく恥ずかしい事を言っていたのだが、今この時は、何故か平気で口に出す事が出来たのだった。
その言葉に煉は若干引き気味だったのは言うまでも無い。
「……お前が誰を、どんな子を好きになろうが俺には関係無い。それに、煉も二人の関係に口を挟むのはマナー違反だと俺は思うんだが。」
刹那は少し説教気味に煉に言い聞かせる。
煉も苦笑しながらもしっかり刹那の言葉に耳を傾けていた。
(…この二人は、いや、この二人も相変わらずのようだな。)
オレは心の中で呟きながら苦笑いしていると不意に煉が口を開いた。
「……っとそうだった。僕は智哉とフェイトさん……でしたか、二人の関係を茶化しに来た訳では無いんです。」
「……おいおい、茶化しに来たのかよ…。」
オレは溜め息混じりに言うと、煉はいやいやと言いながら話を続ける。
「実は、密かに刹那と一緒に和麻とクロノ君、智哉の模擬戦を拝見していてね。智哉が思っていた以上に強いから僕達も混ぜて貰おうかって話をしようと思って来たんだ。どうだい?」
「……は!?」
(おい、ちょっと待て!今何て言った!?僕らも混ぜて貰おう!?無茶言うなよ!たった今やりたくも無かった模擬戦を漸く終えたばかりなんだぞ!?)
「いや、だから僕と刹那も加えてもう一回戦おうって。智哉も流石に二連戦で辛いだろうから、何なら僕と刹那だけでも良いんだけどね。」
オレが戦う事は既に決定事項ですか。
≪智哉様、どうしましょうか?もうこれ以上戦いたくないのであれば、私からもせめて今回は見送って貰うよう頼んでみますが?≫
今のオレには、本当にアイーシアの言葉はとても有難かった。
けれど目の前に居る煉も刹那も、それに先程の負けを根に持っているのか、和麻とクロノも見なくても感じてしまう程、戦う気満々のようだった。
そんな時、煉がオレにとんでもない提案をして来た。
「だったら、智哉の彼女さんかな、傍にいるフェイトさんも参加してくれて全然僕達は構わないよ?こちらはこのまま話が進むとなると4対1になる訳だし。」
(……オレは無意味な争い自体をやりたくないんだけどな。)
オレは煉の提案に返事をせずにいると、和麻が横から割り込んで来て、口を挟む。
「貴様、勝ち逃げか、あぁ!?随分なご身分だな、おい!?戦いたくないとか言ってデバイスの力も使わず回避ばかりしやがって!今更逃げる気か!?………あぁ、そうかそうか。4対1、いや、4対2にしても勝てる気がしないから逃げるのか、そうか!そうだよな、彼女の目の前でボロボロになるなんて恥ずかしいもんなぁ!?」
ブチッ
その言葉を聞いた瞬間、オレの中で何かが切れた。
「………フェイト、危ないと思ったらオレの傍から離れるなよ?」
「……智哉さん?」
「……いいな?」
「……は、はい。」
さっきまでのオレとは思えない程の豹変した声を聞いたフェイトが胸元で少し怯えていたが、オレの守ると言う意志が伝わったのか、直ぐに強張っていた体の力を抜いたようだ。
「……先に言っておく。フェイトに手を出した奴から葬り去る!!」
「うは、智哉ってば豹変しちゃったよ。……ま、でも戦ってくれるみたいだから良いかw」
テヘッと言った顔で呑気に話す煉。
何処からともなく審判が駆け寄り、
「それでは、これより模擬戦を行います!デバイスは両者非殺傷設定!先にどちらかのチーム全員が戦闘不能、又はギブアップと言った時点で終了、相手チームの勝利とします!………では、始め!!」
「さぁ、いくよ!エクスカリバー!!」
≪了解しました≫
「……今日も一仕事頼むぞ、ブリューナク。」
≪承知≫
こうして、模擬戦、第二回戦が開始された。
~後書き~
第5話漸くアップ出来ました~w
いや~、文章長いですなw
まあ、気にしてないんですがねww
今回の話をサイドストーリーにしようかとも思ったんですがねw
まあいっか~的なノリで書いてしまいましたww
終わりを見れば分かると思いますが、第6話は5話の続きですw
これで一応本編からの脱線は終わりにしようと思ってますw
名も無き世界へようこそ。 ここには主に日常の日記、野球関連の事柄、アニメの感想を載せています。 また、最近二次創作SSも書き始めました。 良かったら読んでいってくださいw 読んだらコメント書いてくれるとメチャ嬉しいですw 宜しくお願いしますwm(_ _)m
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