名も無き世界へようこそ。 ここには主に日常の日記、野球関連の事柄、アニメの感想を載せています。 また、最近二次創作SSも書き始めました。 良かったら読んでいってくださいw 読んだらコメント書いてくれるとメチャ嬉しいですw 宜しくお願いしますwm(_ _)m

2008年1月27日日曜日

<第10話 愛しい君>

二次創作SS『魔法少女リリカルなのは ~定められし運命~』










<第10話 愛しい君>









智哉がフェイトやなのはの護衛任務を引き受けてから数日が過ぎた、ある朝。

時刻は午前6時35分、海鳴市桜台林道にて一人の少女がとある訓練を行っていた。

その訓練とは、魔法の行使。

少女、高町なのはは魔力を奪われてしまい、今は療養と共にリハビリを行っている。

そのリハビリが魔法の行使であった。

なのはは両手をグーにしてみたり、パーにしてみたりしながら、目を瞑って精神を集中させる。

そのあと、胸元に両手を寄せ、魔力の源、リンカーコアを抽出させる。

……が、なのはが抽出したリンカーコアは直ぐに消えてしまった。

しょぼんとするなのは、すぐ傍でその姿をフェレットモードで見ていたユーノもなのはに釣られて溜め息を吐くのだった。







同じ日の午前6時41分、海鳴市市街地のとあるビル屋上にて金髪の少女と、赤い毛並みをした子犬が一匹。

金髪の少女、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは自分と同じかそれ以上に長い金属の棒で一生懸命素振りをしていた。

無心で、今は何も考えず、本当にただひたすら強くなりたいと願って。

その姿をすぐ傍で子犬モードのアルフは、ただただジッと飼い主、いや、主を見つめているのだった。

普通の少女には自分と同じ長さの、それも金属の棒はなかなか持てるものじゃない。

ましてや、それを振ることなど到底出来やしないのだが、フェイトはそこらにいるような可愛らしい普通の女の子とは少し違った。

彼女は魔法を使う事が出来る、所謂魔法使い。

普通の女の子とは少し違う特徴を上手く使って、金属の棒の重さを軽減している。

だが、全て魔力で負担してしまっては素振りの意味が無くなってしまい、本末転倒。

一生懸命なフェイトの姿は何て言うか、勇ましいと言う言葉がお似合いだろうか。

しかし勘違いしないで欲しい。

彼女は何処まで行ってもそこらにいる健気で可愛らしい女の子と何も変わらないのだ。

そんな一面も持つ彼女、フェイトを、恋人を、オレはビルの上空から微笑んで見ているのだった。













ここ数日、オレはフェイトとなのはを学校に送った後、大学には行かず、フェイトの家に戻ってリンディさんやクロノ、エイミィと共に闇の書について資料を集め漁っては調べている。

資料はエイミィが主に集めてきたものだ。

その資料を基に、オレ達は互いに今後の方針や対策を練っている。

今はその作業も休憩中。

クロノは通信を使ってレティ提督と会話中。

ガチャ。

「…クロノ、ちょっt…」

『…それから、グレアム提督のところの使い魔さん達が会いたがってたわよ?可愛い弟子に会いたいって。』

「……リーゼ達ですか。……その、適当にあしらっておいて貰えますか?」

苦笑しながらそう伝え、ではと挨拶をしてから通信を切りこちらに気付いた。

「…申し訳ない。……でどうしたんです?」

「……あぁ、先程の話の続きなんだが、進めたいから戻って来て貰おうと思ってね。邪魔のようだったから、終わるまでこうして待ってたって訳さ。」

「そうでしたか、済みません。分かりました、行きましょう。」

クロノは言いながら椅子から立ち上がり、リビングへと戻るので、オレもその後を続いた。

エイミィの姿が見えないと思って色々な方を向いていると、台所の冷蔵庫を漁っていた。

オレ達に気付いたのか、

「おう、クロノ君。そっちはどうだった?」

「武装局員の中隊を借りる事が出来た。捜査を手伝って貰うよ。そっちは?」

「良くないね~。昨夜もまたやられてる。今までより少し遠くの世界で……魔導師が十数人、野生動物が約四体。」

「野生動物?」

エイミィの現在の状況説明の中に野生動物もあったため、クロノは不思議に思ったので、疑問を投げ掛けたのだろう。

「魔力の高い大型の生物だろうな。リンカーコアさえあれば、人間で無くとも別段良いのだろう。」

オレがエイミィの代わりに、クロノに説明した。

「……しっかし、まさか野生動物のリンカーコアまで蒐集対象にするとは。まさに形振り構わないとはこの事だろうな。恐れ入るよ、ヴォルケンリッター。」

そして同時に自分の正直な感想を漏らす。

二人もオレの感想に複雑な表情を浮かべていた。

少しの間の後、エイミィが口を割る。

「闇の書のデータを見たんだけど……何なんだろうね、これ?」

データをホログラムで表示したので、

「魔力蓄積型の…ロストロギアか。魔導師の魔力の源であるリンカーコアを喰らう事によってそのページを埋め、増やしていくようだが。」

簡単にではあるが、オレの今持ち合わせる知識で説明した。

「…全ページである、666ページが埋まると、その今まで溜め込んだ魔力を媒介にして、真の力を発揮する。それこそ、次元干渉レベルの強大な力を。」

「んで、本体が破壊されるか、又は所有者が死んでしまうと、白紙に戻ってまた別の世界で再生する…と。」

「様々な世界を渡り歩いて、自らが生み出した守護者に守られ、魔力を喰らって永遠を生きる。破壊しても何度でも再生しまい、停止させる事の出来ない途轍も無く危険な魔道書。」

クロノとエイミィもオレの説明に付け加えるように話す。

「……それが通称『闇の書』と呼ばれる魔道書か。…今の所の策として、完成前の捕獲だろうな。そのためにはまず、ヴォルケンリッターを捕獲し、そこから主を引きずり出さなければいけない…か。」

「……うん、頑張ろう!」

オレ達は顔を揃えて頷いた。

…ふと、何となく顔を台所に向けると、丁寧にランチマットに包みが一つ置いてあった。

「エイミィ、この弁当らしき包みは?」

「……え?どれです……って、まさかフェイトちゃん?」

「今何時か分かるか、クロノ?」

「……ええと。十二時過ぎたところ、ですね。」

フェイトの弁当箱をヒョイと持ち上げ、

「ならまだ間に合うな。ランニングがてら届けて来るわ。」

そう二人に伝えてオレはフェイトの家を出た。





(…アイーシア、昼の時間まであとどの位だ?)

≪およそではありますが、五分といったところでしょうか。≫

ここら辺はまだ中間、まだ半分程度しか来ていない。

普段、フェイトとなのははバス通学。

オレが護衛をしている今は二人ともオレに合わせて歩いているが、二人の家からだと結構遠い。

そこで、オレが護衛の任に就いてからは、少しでも二人の負担を軽減するために荷物を持ち、代わる代わる負んぶして校門前まで送っている。

二人は、特になのはは恥ずかしいからと言って、何時も遠慮するのだが、多少強引にでも負ぶってしまえば流石に失礼と思ってしまうのか、何も言って来なくなるので何時もそうしているのだった。

フェイトの方はと言うと、最初はなのはと同じように恥ずかしいと言って遠慮するのだが、フェイトに催促すると顔を紅く染めながらも嬉しそうにして背中に抱き付いて来る。

そのままフェイトを背負って立ち上がると、何時も決まってありがとうございますと耳元で囁くのだ。

帰りは流石に色々不味いからと言われてしまい、バス停の近くの公園で待っている事に。

…と、オレは弁当が無くて困っているであろう、最愛のお姫様に届けるため、ペースを上げながらそんな事を振り返っていた。





キーンコーンカーンコーン……

「はっはっ…」

(アイーシア、今のチャイムは昼休みの始まりのか?)

≪そのようですね。智哉様、もう少しですので頑張ってください。≫

ペースを上げたお陰か、漸く学校が見えて来た。

しかし、無情にも着く前に鐘の音が鳴り響いたのだった。

最初からこのペースで行けば良かったと少々後悔しながらも、ある事に気付いてデバイスに、アイーシアに思念通話で話し掛ける。

(……それにしてもさ。こんな時に魔力負荷をわざわざ与えてくれなくても良いんじゃないか?)

≪それとこれとは話が別です。智哉様は最近修行に励む事が少なくなっていますからね。こんな時でもないと、走ったりなんか絶対にしないでしょうし。≫

アイーシアはまるで母親が子供に躾をするかのような口調でオレに返す。

久々の魔力負荷に少々応えながら鐘が鳴り響き、少しして到着した。



「…えぇと、フェイトの教室は………っと、あった、ここだな。」

……おいおい、ジロジロ見ないでくれよ、頼むからさ…。(汗)

(…なぁ、アイーシア。)

≪はい?如何なさいましたか、智哉様?≫

(この子らは、オレの一体何が気になるんだろうな?マジ視線が何か嫌なんだけど……。)

格好なのか、オレの背なのか、手に持ってる可愛らしい女の子用のランチマットに包まれた弁当を持ってるからなのか、はたまたどれでも無いのか。

取り敢えず、このジッと見られている状況を如何にかしたかったので、直ぐ傍に居た少年を引き止めて話し掛ける。

「君、ここのクラスだろ?フェイト知ってるかい?」

オレにいきなり話し掛けられた上に、何故このお兄さんだか小父さんだか知らない人がクラスメイトであるフェイトを知っているのか、と言った具合に思いっ切り吃驚しているのだろう、何も返ってこない。

「……小父さん、どうしてフェイトの事知ってるのさ?」

もの凄い怪しいと言いたいのだろう、目を細めてあからさまに口を割る少年。

「……ま、弁当忘れたみたいだったからさ。届けて上げようと思ってね。……で、何処行ったか判りそうかい?」

あくまで弁当を届けに来た事を主張して、信用を買うオレ。

少しの間があった後、漸く渋々と言った表情で指を上に向ける。

「……?上?……あぁ、屋上か。サンキュー、少年!」

廊下は走るな、と教育された筈だがそうも言ってられない。

何せ、最愛のお姫様が弁当を待っているだろうから。

走りながら少年の方にありがとうの意味で片手を顔まで上げて、屋上へ向かう。






ガタン!

屋上のドアが突然思いっ切り開け放たれました。

既に弁当を食べ始めていた生徒達が全員黒いコートを羽織り、サングラスをかけながら、可愛い感じのランチマットでしょうか、に包まれた何かを片手に持っている背の高い人の方を向きました。

勿論私達も例外ではありません。

「え~っと………、お?フェイト、発見!!!」

その人は辺りに居る生徒達をぐるりと見渡した後、何と私の名前を叫びながら近づいて来たんです!

「………ぁ、ぇと……ぁの…」

近くに来るともの凄く恐そうな感じの人で、余りの恐さにはっきりと言葉が出なく、如何しよう、如何しようと思う度に焦りばかりが生じてしまう私。

アリサやすずか、なのはの方へ目だけ動かすと、皆も同じような様子でした。

「はい、弁当だよフェイト。忘れ物をする程今日焦ってた様には見えなかったんだけどな。」

恐い感じの人は親しげに話しながら私の膝の上に弁当を置くと、顎に手を当てて考えに耽ってしまいました。

それにしてもこの声、何処かで絶対に聞いた事がある声でした。

そう、それは何時も私の直ぐ傍にいてくれて、私の心を温かくしてくれる、あの人の、智哉さんの声のように。

そこで私は目を瞑って、ダメで元々なのだから、と目の前の黒いコートを羽織った男の人に向かって思念通話を試してみる事にしたんです。

(………ぁの、……その。……もしかs)

(…ハハ、もしかして気付かなかったのかい、フェイト?…う~ん、それはオレ哀しいかも。)

智哉さんと判ってとても安心した反面、智哉さんにわざわざ忘れてしまった弁当を届けて貰った事に対してもの凄く恥ずかしかった。

「……あの、智哉さん……そのぉ……ありがとうございます。」

私が智哉さんに何気なく感謝の気持ちを述べた時でした。

「えええぇぇぇぇぇええええ!?ととと、智哉さんなんですかぁぁぁああ!?」

そう、私は智哉さんだと判って安心しきってしまっていた為に、傍に居た三人が誰かまだ判らない事に気付いていなかったのが失敗でした。

特になのはが智哉さんだって判ればどういう反応をするか簡単に想像出来た筈なのに。

私がその事に気付いたのはなのはがとんでもない反応を示した後なのでした。

(………あの、フェイト?……皆の、特に傍に居る三人の視線が痛いのだけど、オレは一体どうすれば良いんだい?)

勿論、智哉さんにも突っ込まれます。

智哉さん、ごめんなさい。

私も今は何も考えられません。

智哉さんの顔に苦笑いで返すと、私の考えを受け取ってくれたのでしょう、はぁ~と深い深い溜め息を吐くのでした。

(…なのは、とても素直な反応ありがとう。お陰で横で今にも質問をして来そうな二人は勿論、全員オレの方に目線向けて来てるよ……。……んじゃ、二人とも、オレは帰るから。…ああ、そうそう。フェイト…はまだ携帯持ってないんだっけ?それじゃなのは、授業終わって帰る用意出来たら電話して。迎えに来るからさ。)

私達二人に思念通話で用件を伝え、じゃ、と言う素振りを見せて屋上から出て行く智哉さん。

(…えと、智哉さん?…あの、バスあるので大丈夫ですよ?それに、迎えに来るって何処までですか?何時もの公園で待っていてくれれば良いんですよ?)

私は慌てて智哉さんに思念通話を使って問い掛けますが、

(ハハ、公園で待つのも飽きたからさ、今度からは車で送り迎えしようかと思ってね。それにフェイトに買ってあげなきゃいけない物も出来たし。)

智哉さんはそれだけかい?と言った感じでサラッと私の質問に答え、勉強頑張るんだぞ、と最後に付け加えて思念通話を切ってしまいました。

「………」

私は何を聞いたのでしょう?

正確に言えば、今さっき智哉さんは何と言った、でしょうか?

記憶が正しければ、確か……『車で送り迎えしようかと思ってね。』でs……

「えええええぇぇぇぇぇぇぇええええええ!?」

私はその場で驚きを隠す事が出来なくて、周りを気にする暇なんて勿論無く、絶叫してしまいました。

「……今日いきなり目の前に現れた怪しい人もそうだけどさ。……あなた達も十分変よ、一体どうしたの?」

隣に居たアリサ・バニングスもなのはと私の顔を交互に見ながら呆れ顔で言います。

なのはの隣に座っている月村すずかも不思議な顔をしています。

突然の智哉さんの来訪に、私となのははアリサやすずかを始めとする色んな人から質問攻めにされるのでした。







フェイト達は今学校が終わったようで、なのはから携帯に電話が来た。

電話に出て、今行くからとだけ伝え、携帯を切った後車のエンジンをかける。

「…良し、行くか。」

久々の運転も兼ねてフェイトとなのはを連れてドライブしようと思ったのだった。




校門前は流石に小学校だけあって学校帰りなのだろう、人が沢山だった。

その中に本当に車で来るのだろうか、と凄くソワソワしているフェイトとなのはを発見。

二人の傍まで近寄ったが気付いていない様だったので、プップーとクラクションを鳴らす。

すると吃驚しながらこちらを見て、

「………あの、智哉さん……ですよね?」

間違ってたらどうしよう、というフェイトの表情がハッキリ判ったので、オレはフェイトの顔見て思わず笑ってしまった。

「…あ、笑ったぁ!もう、智哉さん酷いですぅ!」

そう言いながらフェイトは運転席のドアを開けたと思いきや、笑った罰です、とでも言わんばかりに、いきなり飛びついて来た。

そしてそのままフェイトはオレに抱き付いて離れようとしない。

……これじゃ運転出来……無くは無いんだが、もの凄くし辛い事は確かだった。

しかし、正直言って、恋人に抱き付かれるのは恥ずかしいが、それよりも嬉しさの方が格段に上だった。

…上なのだが、車の中とは言え、人が沢山こちらを見ているにも関わらず抱き付くのは流石に、ね。

「……にゃはは。」

なのははオレとフェイトの姿を見つつ、苦笑しながらお邪魔します、と言って車の後部座席に乗った。

フェイトの頭を撫でながら暫くそうして、何とか助席に座らせ車を走らせる。

「…ところで、智哉さん。私に買ってくれる物って何ですか?…まさか私、智哉さんに何かおねだりしました?」

申し訳無さそうに聞いて来たので、そんな事無いよ、と微笑みながらフェイトに返す。

フェイトはオレが何を買うのか頭に色々思い浮かべて聞いて来るが、

「…さあ何でしょう?それはお楽しみって事で。大丈夫。きっと喜んでくれるような物だから。」

と言ってフェイトに期待を持たせつつ運転を続けた。





「……ねぇ、なのは。…いきなりなんだけど、あの人達の事どう思う?」

フェイトは唐突になのはへ話を振る。

「あの人たちって……もしかして、闇の書の?」

「…うん。闇の書の守護騎士達の事なんだけど。」

なのはの問いにフェイトが答える。

「……えと、私は急に襲い掛かられて直ぐ倒されちゃったから、良く分かんなかったんだけど……、フェイトちゃんはあの剣士の人と何か話してたよね?」

なのははあの時の現状を思い出したようではあるが、やられてしまったため、自分で感じた事は余り無かったのか、フェイトにも聞いた。

「…うん。少し不思議な感じだった。…上手く言えないけど、悪意みたいなものを全然あの人からは感じなかったんだ。」

オレは敢えて口を割らず、二人の意見交換を黙って聞く事に集中する。

「…そっか。闇の書の完成を目指している目的とか、教えて貰えたら良いんだけど。……話が出来そうな雰囲気じゃなかったもんね。」

なのはははぁ、と小さな溜め息を吐く。

「…強い意志で自分を固めちゃうと、……周りの言葉って、中々入って来ないから。……私も、そう…だったし…ね。」

「…私は母さんのためだったけど、…傷付けられても、間違ってるかもって思っても、疑っても。……だけど、絶対に間違ってないって信じてた時は、信じようとしてた時は……誰の言葉も入って来なかった。」

ハハ、とフェイトは笑っているが、オレには辛かった、苦しかった思い出を呼び起こした事が原因で暗い表情に変わってしまったのが直ぐに判った。

だから、オレはあくまで黙ってフェイトの頭を撫でて上げた、優しく、只ひたすら優しく。

なのはもフェイトの表情を見ているからだろう、辛そうだった。

そんな中でフェイトはオレの手はそのままになのはを思ってか、

「…でも、言葉を掛けるのは、思いを伝えるのは、絶対無駄じゃないよ。母さんのためだとか、自分のためだとか、あんなに信じようとしてた私も、なのはの言葉で何度も揺れたから。」

そう話す。

フェイトの言葉で、なのはの顔に少しずつ笑顔が戻る。

オレはもう大丈夫だろうと思ってフェイトから手をそっと離すと、フェイトは名残惜しそうにするが、そのまま話を続ける。

「言葉を伝えるのに、戦って勝つことが必要なら、……それなら、迷わず戦える気がするんだ。」

「フェイトちゃん……」

「…なのはが教えてくれたんだよ?そんな強い心を。そして何より、私の全てを受け止めてくれた、私の心の拠り所になってくれた智哉さんが、傍に居てくれたから今の私があるんです。」

なのははそんな事無いと思うけど、と少々照れ、フェイトはそんななのはを見ながら笑っていた。

オレはと言うと、黙ったまま、だがフェイトの言葉を、フェイトの感謝の意を、フェイトの発した一語一句全てを生涯忘れぬように心に刻むのだった。


フェイト、オレは強くなれ、とは言わないよ。

辛くなれば、
泣きたくなれば、

オレを頼って欲しい。

そのために、

今ここに、
君の隣に、
君の傍に、

『オレ』と言う存在があるのだから。







「…さ~ぁ、着いたぞ。」

結構目的地まで遠回りに走っていたためか、流石に疲れたので車を降りた後、大きく伸びをする。

久々の運転だったのもあったのだろう。

だけど、たまにはこういう気分転換の仕方も悪くは無いなと思った。

「…智哉さん、えと……ここは、デパートですよね?」

フェイトがどうしてここなのでしょう、と言った顔で問い掛けて来た。

「…おいおい、フェイト、若年性健忘症は不味いぞ?…まあ、取り敢えずもう一回言うけど。フェイトに買ってあげる物を探しに来たんだ。ま、良いからついておいで?」

フェイトとなのはを連れてデパートの中に入り、オレ達はとあるコーナーに来た。

「……あの、智哉さん、ここは?」

このコーナーは何なのかと言う事をフェイトが言いたい訳では無いのは判っていた。

周りの友達が、特に一番近くに居るなのはが持っているのだ、知らない筈は無い。

それに以前、フェイトはオレの携帯を何度かいじっていた事もある。

そう、この質問を言い直すならば、『ここ』に来てどうするのか、だろう。

「さて、好きな携帯を選ぶと良いよ。買ってあげるから。」

普段と別段変わらない感じで今も?マークを浮かべるフェイトに言ってあげた。

店員もオレ達に、特に今の新しい携帯をマジマジと眺めているオレに気付いたのか、近づいて来た。

「ええええぇぇぇぇえええ!?」

と突然フェイトが大声を上げ出したので、咄嗟にフェイトの口を手で塞ぐ。

もごもごと言う喋られなくなった時の効果音が出る。

フェイトが苦しそうな表情をしたので手を離すと、

「ととと、智哉さん!幾ら私が智哉さんに甘えて良いからってこれは流石に悪いですよ!母さんに何て言われるか…!」

もの凄い勢いで断って来るフェイト。

だが、オレはフェイトの猛抗議を華麗にスルーしつつ、店員に今の最新の携帯の中ではどれがお勧めなのかを聞いていた。

「ほら、フェイト。人任せにしないで自分の携帯なんだから、自分で選ばなきゃ。自分の好きな色とかにしたいだろうし。」

フェイトの両肩を掴んでグイッと沢山の携帯が飾られている前に押し出す。

「妹さんのをお探しでしたか。それでは……」

沢山の携帯の前でオロオロしているフェイト見て、店員が色々勧める。

フェイトは遂に観念したのか、最後の抵抗として、

「……如何しても智哉さんに買って貰わなきゃダメ…ですか?」

涙目になりつつ、上目遣いでオレを見つめて来る。

残念だったな、フェイト。

何時も通りのオレならそれで一発KOだが、今のオレは違うのだよ。

「ダ~メ」

フェイトの頭を撫でながら優しく言ってあげる。

「……ぅぅ、智哉さんのいじわるぅぅ…」

今回ばかりは頭を撫でられて何時も通り心地良く感じてしまう自分に、恥ずかしさと悔しさを滲ませるのだった。

暫くの間、観念したフェイトは色々携帯を見たり開いたり、いじってみたりしたが、表情が険しくなる一方。

フェイトのテンパッていく表情を見兼ねて、どうしたの?と聞いてみると、

「……使い方が全然分かりません…。」

先程とはまた違った意味で涙目になって、終いにはオレに抱き付いて来るフェイト。

困り果てたフェイトの姿を見て苦笑しながら、

「そうだな~」

何か良い案は無いだろうかと思って考える。

う~んと唸っていると、

「……ぁの、智哉さん」

今にも消え入りそうな声で抱き付いたままのフェイトが話し掛けて来た。

「ん?」

「……その……一つだけ、…私でも使えそうなのが……あるんですけど…」

恐る恐ると言った感じで話すフェイト。

「どれだい?」

フェイトをこれ以上困らせないためにも、サラッと返事を返す。

「……ぇと…その……。…笑わないでくださいね?」

抱き付いているため、自然と上目遣いになる。

そんなフェイトがとても愛おしくて、抱き止めていた片手を頬に手をやり、優しく擦って、

「大丈夫、笑わないよ?」

そう答えると、

「……智哉さんのと同じのです。」

オレのと同じ………

ああ、そっか。

なのは達の携帯は使わせて貰ったりしてないけど、オレのは何度かいじった事があるからな。

オレはポケットから自分の携帯を取り出し、店員にこれと同じ種類のは無いか?と聞いてみる。

少々お待ちくださいと言われて、周りを見渡して直ぐ、なのはを一人にしてしまった事に気付き、

「なのは、付き合わせちゃったのに一人にしてゴメンな。こっちおいで?」

「え?……ぁ、あのぉ、……そのぉ…わ、私はd」

目をキョロキョロさせ慌てて断ろうとしているが、ここは強引に手を引いてやろう。

オレはなのはの手を捕まえて引っ張り、正面から抱き付いていたフェイトを右側に、なのはを左側に抱き寄せて離れられないように両腕に力を入れた。

「フェイトの携帯買い終わったら何か奢ってあげるからね。それまでは離さないからな~?」

抱き寄せられた事でなのはは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしているが、フェイトはなのはとは逆に、頬を摺り寄せている。

「……お待たせしました、色はこちらで全部になっていますね。」

「フェイト、好きな色を選ぶと良い。」

オレの言葉に頷き、少しの間う~んと唸って考える。

「……じゃあ」

そう言って手に取ったのは外側がオレのと同じ黒を基調にカメラの部分の淵が黄色で、中が白を基調に画面の淵が黄色の携帯。

「それじゃこれを。それと、色々使わせたいのでパケット使い放題、ミニSDもお願いします。」

オレはもう片方のポケットから財布を取り出し、カード一枚を店員に渡し、一回でと頼む。

フェイトとなのははオレのやり取りの手際の良さに唖然としていたのだが、それに気付かず

「…ん?二人とも、どうした?ボーっとしてるぞ?ま、オレ的にそれはそれで可愛いから良いんだが。」

と言った刹那、二人揃って顔から湯気が出たかと思う程にボッと紅くなって俯いてしまった。

暫くして、店員が携帯が入っている袋を持って来た。

「……はい、どうぞ。お兄さんからのプレゼントでしょ。大事にしなくちゃね?」

そう言いながら店員はフェイトに渡す。

「良かったね、フェイトちゃん。」

「…うん。ありがとうございます、智哉さん。」

感謝の気持ちと満面の笑みを受け取ったオレは二人を連れてエスカレーターに向かって歩き出すと同時に、

「…あ、そうそう。この子はオレの妹じゃなく恋人です。んでもって、近い将来、嫁にするんで。」

店員に話し掛け、エスカレーターを目指す。

オレの話が聞こえていたであろう二人は、特にフェイトは恥ずかしさで死んでしまうのではないかと思えてしまう程に顔が紅く染まっていた。

店員も何をオレが言ったのかようやっと理解ようで、エスカレーターに乗って直ぐに、絶叫がフロア中に響き渡ったのだった……。












~後書き~

いきなりですが、申し訳ないです
m(_ _)m

テスト勉強で更新遅れてしまいました。
(>▽<)ゞペチッ (テストなのに余り、っつーか全然してないのは内緒ww)

10話漸く終わりです~w

来週?今週?までテストあるんで、それまではこんなトロトロなペースかもです…。
サーセン。
m(_ _)m

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