二次創作SS『魔法少女リリカルなのは ~定められし運命~』
<第16話 心と身体の休暇>
今回、旅館に来た人数は合計14人。
予め予約して貰っていた部屋を見てオレは唖然としていた。
高町夫妻と恭也さんと忍さんが二人部屋なのは分かる。
だが、まだ二人部屋が二つも残っていたのだ。
「……あの、リンディさん。何故二人部屋が後二つも余ってるのです?」
オレは何となくではあるが理由が読めていたため、聞いたら聞いたで予想通りの答えが返ってくるのだろうと思いながらも、やはり聞かずにはいられなかった。
「ふふ。その様子だと、私の言いたい事は予想出来てそうですね。残り二部屋の内、一つはフェイトと智哉さん、もう一つはなのはさんと和麻さんの部屋よ。」
「………はぁ、やっぱり。だろうとは思ったんですけどね。」
予想通りの回答を戴いたオレは、つい溜め息が漏れてしまった。
当然、その様ないかにも嫌そうな態度を取ると、聞かれる言葉は一つしか無い訳で。
「喜んでくれると思っていたのですが。……フェイトと同じ部屋では嫌ですか?」
リンディさんから発せられた言葉は傍にいたフェイトも勿論聞こえている。
リンディさんはニヤけながらオレの顔を覗き込む様に見てくる。
オレの答えは一つしかないと分かっていても、リンディさんはしっかりオレの口から聞きたいと、その目で言っているのだ。
フェイトもフェイトでオレの顔を見上げているのだが、オレの口から発せられるのがイエスかノーなのか判らないようで不安を募らせていた。
心配性のフェイトだから、安心させてあげようと頭を撫でながら口を割る。
「いえいえ、寧ろ嬉しいですよ?………嬉しいんですが、オレなんかのためにわざわざ二人部屋の数を増やして支払うお金が余計増えてしまった事に何だか申し訳無くて。和麻はどう思ってるのか知りませんが、少なくともフェイトと二人きりにして頂いた事には感謝しますが、オレとフェイトの分は後でお返ししますので。」
「良いのよ~、そんな事気にしなくても。……フェイトの事を幸せにして戴けるなら。」
最初とは違い、傍にいるフェイトに聞こえないようにオレの耳元で囁くリンディさん。
『フェイトを幸せにするなら』
その言葉は小声であってもオレの心に十分過ぎるほどに響き渡った。
だが、それとこれとは別だ。
「フェイトを幸せにするのは当たり前ですが、今回のは話が別です。なので後ででも良いですから、きちんと受け取ってくださいね?」
小声で話すリンディさんにオレも小声でそうキッパリと答えた。
オレの話を聞いて、リンディさんは少し残念そうにしていましたが、これはオレのけじめでもあるので。
「全く……、そのくらい先に言っておけ。オレは知った時点で桃子さんに話して金は先払いしておいたんだぞ?お前は何時も行き当たりばったりな考えをしているからそうなんだ。こんな馬鹿はほっといて、行こうか、なのは。」
「一昨日知ったんだから仕方無いだろ。それにこういう事になるとは予想してなかったんだ……っておい!」
オレの言葉に和麻は聞く耳を持たず、なのはを連れてそのまま部屋へ行ってしまった。
まあ、何時もの事だから気にはしてないが、やはり少々腹が立つのは確か。
そんな状態のオレを何時も絶妙なタイミングで気を紛らわせてくれるのがフェイト。
「智哉さん。……あの、私達も行きましょうか。」
フェイトは何時もは絶対にしないような大胆な行動に出た。
オレの腕に抱きついて来たのだ。
恥ずかしがり屋なフェイトの顔は、思った通り赤くなっている。
本当に可愛いと思った。
だから……
「ありがとう、フェイト。」
優しく頭を撫でてあげた。
そして、そのまま一緒に部屋へ向かった。
「あの二人には幸せになって欲しいわね~。」
「ふふ、ホント中睦まじくて羨ましいわ~。」
リンディ、桃子は智哉とフェイトの後姿を見てそう話した。
「そうですね~。」
「何言ってるのよ、お母さんは何時もお父さんとラブラブじゃない。見てるこっちが恥ずかしくなる位。」
エイミィは二人と同様の意見。
しかし、桃子に突込みが入る。
美由希だ。
「良いじゃない、智哉さん達や和麻さん達にはまだまだ負けないわよ~?ねぇ、士郎さん?」
「ハハハ。お、そういえば彼は大学一年生なんですよね?」
「ええ、そうらしいですね。」
「じゃあ家の恭也と同い年な訳だ。どうだ、恭也。今回を機に色々話してみたら良いんじゃないか?」
「…そうだな、和麻も昔からの友だと言ってたしな。」
恭也に話を振る士郎。
智哉には興味がある様子の恭也だった。
部屋に入って荷物を降ろした智哉さん。
「さて、フェイト。これからどうする?」
予定を何も考えていないので、私もどうしましょうかと答えました。
すると智哉さんはとんでもない事を言い出したんです。
「……じゃあ、一緒に温泉に入りに行こうか、フェイト。」
私は一時の間思考が止まってしまいました。
……智哉さんは今、一体何と言ったのでしょう?
ええと………
『一緒に温泉に入りに行こうか』
………………
刹那、顔が熱くなったのが分かりました。
今、物凄く真っ赤になっていることでしょう。
「ハハ、冗談だよ。それとも本気で考えたりした?」
智哉さんは笑いながら私をギュッと抱き締めてくれます。
怒りたいのに怒れません。
だって、智哉さんに抱き締められるととっても心が安らぐんです。
私が抱き締められると何も出来なくなってしまう事も智哉さん自身、分かっている訳で。
「……智哉さんの意地悪」
だから私は今この状態で精一杯の膨れ顔をして、いじけてみました。
でも智哉さんは私に構わず、
「…でもさっき言った事はいずれ必ずオレはやるよ?結婚した日からずっとね。」
耳元でこんな事を囁いて来たんです。
そして、私の反応を見ないまま先に入って来ると言って、出て行ってしまいました。
……もぅ。
茶化すだけ茶化して一人でさっさと出て行くなんて。
……………でも
本音を言うとさっきの言葉は凄く嬉しかった。
智哉さんに沢山愛情を注がれているんだなって、そしてそれはこの先もずっと続いてくれるんだなって。
私は暗にそう智哉さんが言ってくれている様な気がしたんです。
一人でそんな事を考えていると……
コンコンと、部屋をノックする音が聞こえました。
「フェイトちゃん、いる?」
なのはの声でした。
開けてあげると、アリサとすずかも一緒です。
持っている洗面道具から、皆で一緒に入りに行こうと言う事なのでしょう。
言われる前に、一緒に行こうって誘います。
準備自体はすぐに終わったので、皆揃って歩き出しました。
オレは一足先に温泉に浸かっていた。
そこへ恭也さんが来て、
「隣、良いか?」
そう聞いてきた。
別段断る理由も無かったため、構いませんよと返事するオレ。
暫しの沈黙。
温泉が湧き出る音だけが響く。
そんな中、口を開いたのは恭也さんからだった。
「和麻と同い年なんだってな。」
「ええ、そうですね。」
聞かれた問いに、軽く返事を返す。
次に出てきた言葉が余りにも以外だったので驚きを隠せなかった。
「実は俺も同い年だ。智哉の事は和麻や妹から既に聞いている。だから、俺に敬語は使わなくて結構だよ。」
「………へ?!恭也さんってオレ達と同い年だったんスか!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
すると、聞き覚えのある声がオレを叱責する。
「ここは公共の場だぞ、静かに出来ないのかお前は。……隣、良いか恭也?」
「構わないが、今のは仕方無いと思うぞ?智哉は俺より年下だと思っていたみたいなんだからな。」
「だからと言って、公共の場で周囲に迷惑をかける行為は許される事では無い。大声は勿論そうだが、今の様な馬鹿丸出しの声が寧ろ周りに良く響く。」
和麻の遠慮しない非難にもオレは何時もの事だからと、恭也さんに苦笑しながら話す。
恭也さんは恭也さんで、しきりに敬語は必要無いとオレに指摘してくる。
言い慣れてしまったものを直すのは中々難しいものがある。
それこそ日常で週間になってしまった事をいきなり直そうとしている事と同じようなものだ。
それに、照れ臭いのもあるのだが、そこは心の内側に留めておく事にする。
「……本当に良いんスか?元に戻してくれって言われても無理ですよ?」
「ああ、構わない。それにもっと智哉とも親しくなりたいと思っていたしな。」
爽やかな笑顔で、それでいてハッキリと口にする恭也さん。
そこまで言われてしまったら、こちらもそうせざるを得ないだろう。
だから、と言う訳ではないが…………
「………じゃあ、改めて。宜しく、恭也。」
「こちらこそだ、智哉。」
オレ達は互いを認め合うかのように固い握手をした。
体を洗い終わって三人で露天風呂に浸かっていると、恭也が口を割る。
「二人ともこの後暇か?」
「残念だが、俺は仕事が残っていてな。」
「オレは別段無いからオーケー。」
先程までひたすら意識しながら話していたため、大分素の口調で恭也と喋れるようになってきた。
……にしてもだ。
入りに来る前に既に予定を立てているとは。
どこまでもコイツは堅物な奴だ。
それは昔からちっとも変わっていない。
その場のノリってものも少しは学ぶ必要があると思うのだが、どうだろう?
「この後卓球でもやろうかと考えているんだが。」
そんな事を考えていると恭也がこの後やる事を提案して来た。
その提案にオレは頷き、オレ達は風呂から上がった。
ラケットをフロントで借りて卓球専用の部屋に来た、オレと恭也。
卓球をするのなんて何時以来だろうか?
少なくとも半年は経っている。
だが、不思議な事にラケットを手に持つと自然と形になってくれるのだ。
一度見に沁みたものは忘れないってか。
「さて、まずはウォーミングアップと行こうか。」
「そうだな。」
オレはペン、恭也はシェイクをそれぞれ持ち、構える。
球は恭也が持ち、軽く打ち出す。
それをオレが拾い返す。
返した球を恭也が普通に返してくるとばかり思っていたオレが甘かった。
パシイイイィィィィィィイイイイイン!!!!!!!
何が起こったか一瞬分からなかった。
ただ、目の前には利き腕を顔が隠れるくらいまで上げていた恭也がいた。
目の前にいる恭也の格好。
先程の音。
そして、自分の足元を転がっている球。
それらを総合して考えた結果………
(……スマッシュか!?)
「……やってくれるな」
「ん?何か言ったか?」
恭也は挑発的な表情をしている。
フ……。
ここでその顔を歪ませる事が出来たら面白いと思わないか?
面白いよな!?
(良いぜ!その挑発、ノッてやるよ!!)
オレは転がっていた球を持ち直し、打ち出した。
暫くの間、オレは恭也に翻弄されていた。
少々感覚が戻るのに時間が掛かった。
だがもうお遊びは終わりだ。
「………さて、そろそろ本気で行こうか」
足元を転がっていた球を拾い、構える。
戻った感覚を研ぎ澄ませる。
球を手の平に乗せ、そのまま高く抛った。
自然落下してくる球を振りぬいた。
凄まじい回転がかかって恭也の台へ。
台で跳ねた所を返そうとしたのだろうが、それは叶わなかった。
オレが打った球は進行方向より90度程曲がっていたのだ。
恭也は曲がった球を反射的に捉えたが、指に当たり明後日の方向へ飛んでいってしまう。
「………ほう、やるな」
「そろそろ本気でやらないと、そっちも飽きるだろ?」
「そうでなくては面白くない!」
壮絶な戦いが幕を開けた………。
私達は温泉から上がって、アリサの提案で卓球をやる事になりました。
ラケットを借りて皆で卓球のある部屋へ行きます。
すると、先客がいるのか音が聞こえて来たんです。
中に入ってみると…………
「智哉さん!?」
「お兄ちゃん!?」
私となのはが智哉さんと恭也さんを見て同時に驚いてしまいました。
結構大きな声を上げてしまったと思ったのですが、二人は全くこちらに気付く様子がありません。
私達は呆然と見ていました。
二人の動きはまるでプロのようだったんです。
凄まじいラリーなのでしょうが、球が速過ぎて目が追い着きません。
刹那、
「貰ったああぁぁぁぁあああ!!!!」
智哉さんの雄叫びと共に球が台に叩き付けられた凄い音が響いたんです。
そして、恭也さんの後ろの壁に球が跳ね返る音と共に二人は動くのを止めました。
互いの顔をジッと睨み続けるのですが、暫くするとどちらからともなくいきなり笑い出したんです。
私達はただ不思議な顔をする事しか出来ません。
そんな時でした。
「アハハハハ…………ふぅ。どうだったフェイト?」
智哉さんが突然私に話を振って来たんです。
まるで私が見ていたのを知っていたかのように。
「え?」
いきなりだったので、何て言ったら良いか言葉が見つかりませんでした。
だからさっきみたいな返事しか出来なかったんです。
「え?じゃない。オレのスマッシュ見てただろ?。恭也の甘く入った球を逃さず一撃で仕留める!気持ち良かった~!」
智哉さんも恭也さんも先程温泉から上がって来たのでしょうが、既に汗だくになっているのが私達でも簡単に判ってしまいました。
余程白熱していたのでしょう。
そんな二人を見て、私もなのはもクスクスと笑ってしまいました。
「……フェイト?」
「なのは、どうしてそこで笑う?」
お二人はどうしてそこで笑うのかと聞いてきます。
それはそうでしょうね。
私もお二人と同じ状況だったらきっと同じ事を聞いているでしょうから。
だから、私はありのままを答えます。
「ふふ、お二人ともとっても良い顔をしていましたから。」
「そう、お兄ちゃんのそんな清々しい顔久々に見たような気がしたから。」
すると智哉さんも恭也さんも照れ臭そうにします。
お二人の照れている姿なんて初めて見たかも。
だからと言う訳ではありませんが、何時も智哉さんには意地悪されているのもあってか、仕返ししてみることにしました。
「その、今日の智哉さん、何だか凄く格好良かったです。」
私なりの精一杯。
口にした私自身も恥ずかしくなってしまったんですが、智哉さんもそれは同じようで。
「……ハハ、フェイトにそんな事言われたのは初めてかな。」
照れ臭そうにしながらも、口調は何時も通りでした。
ちょっぴり悔しいかも。
私だったら今の智哉さんみたいに振舞うのは絶対無理でしょう。
流石です、智哉さん。
「どうする、智哉。もう一度風呂に行くか?」
「そうだな、これ以上やると浴衣を絞らなきゃいけなくなりそうだし。……と言う訳だから、フェイト、なのは。後は皆でゆっくりやると良いよ。……あ、そうだ。オレが上がって来る前に部屋に戻りたいと思ったら困るだろうから鍵渡しておこうか。」
そう言って私に鍵を渡してくれた後、恭也さんと肩を並べて談笑しながら廊下に出て行きました。
そういえば、智哉さんと恭也さんは確か今日初めて顔を合わせたんじゃ?
そんな疑問が頭を過ったので、なのはに聞いてみることに。
「ねぇ、なのは」
「何、フェイトちゃん?」
「智哉さんと恭也さんって今日会ったばかりだよね?どうしてあんなに仲が良いの?」
「えっとね、実はお兄ちゃんと智哉さんって同い年なの。ほら、和麻さんは智哉さんと同い年だって言ってたでしょ?それでお兄ちゃんにも歳確認してみたら見事に同じだって言ってたの。」
「そうだったんだ。だから智哉さん、恭也さんに敬語使わなくなったんだね。」
「そういう事になるかな。」
私達はクスクスとまた笑い出していました。
そんな中、
「ちょっと!何笑ってるのよ!さっさと台につきなさい!」
アリサが私達を急かすように話し掛けて来ます。
私はラケットを手にしました。
先程の戦いを見て、少なくとも私は遊びでやる気にはなれませんでした。
だから、
「全力で行くよ、アリサ!」
そう言って手に力を籠めるのでした………。
智哉達が温泉旅行へ行っている頃………
「管理局の管理を受けている、世界の書籍やデータが全て収められた……超巨大データベース。」
「幾つもの歴史が丸ごと詰まった、言うなれば世界の記憶を収めた場所。」
双子の使い魔がここ、管理局が誇る探せば出てこない物は無いと言われる無限書庫の簡単な説明をユーノにしていた。
「……とは言え、中身が殆ど未整理のまま。」
「ここでの探し物は大変だよ~?」
「本来なら、チームを組んで年単位で調査する場所なんだしね~。」
何人もの人を注ぎ込んでも年単位ではないと到底探す事が出来ない程の広さがユーノの目の前に広がっている。
「過去の歴史の調査は、僕等の一族の本業ですから。検索魔法も用意して来ましたし、大丈夫です。」
自信ありげに答えるユーノ。
「そっかぁ、君はスクライアの子だっけねぇ。」
「私もロッテも仕事があるし、ずっとって言うわけにもいかないけど……なるべく手伝うよ。」
「可愛い愛弟子、クロすけの頼みだしね~!」
宙に浮いていたロッテはヒョイと体勢を起こして言った。
話はこれくらいにして、とアリアが切り出し早速作業を開始したのだった………。
~後書き~
16話でした~。
中々白熱しました。
つい最近、卓球の世界大会ありましたよね?
それで卓球ネタを入れてしまった訳ですww
余りにも長くなりそうだったので、今回は程々に抑えましたwww
旅館での話はもう少し続きますねww
名も無き世界へようこそ。 ここには主に日常の日記、野球関連の事柄、アニメの感想を載せています。 また、最近二次創作SSも書き始めました。 良かったら読んでいってくださいw 読んだらコメント書いてくれるとメチャ嬉しいですw 宜しくお願いしますwm(_ _)m
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