二次創作SS『魔法少女リリカルなのは ~定められし運命~』
<第25話 迫り来る何か>
次の日、私は智哉さんと一緒に着る物を買いに行きました。
智哉さんは歩けはしたんですが、まだフラフラして危ないと思ったので一人で行きますからと言ったんです。
けれど、どんな状態であっても智哉さんはやっぱり智哉さんでした。
大丈夫だから、の一点張りなのです。
確かに一緒に行きたい。
心からそう思います。
でも、私だって智哉さんに無理をさせてまで一緒に行きたいだなんて我が侭は言いません。
そんなこんなで一人で街に行き、着る物や食事の材料を買い終わって真っ直ぐ智哉さんの家に。
家に帰ってからは洗濯や食事の支度、掃除など家事全般をやりました。
この日から2日程は特に管理局との間では重要な事は特にありませんでした。
管理局との間だけはですけど……ね//////
フェイトと少しあったけど、それでも二人で乗り越えてまたこうして一緒に居られるようになった。
≪智哉様、本当に良かったですね≫
「そうだね、本当に良かった……。………オレの命も後僅かって時にあんな事になるとは思ってもいなかった。本当に迂闊だったよ。」
今、オレは自分の部屋に居る。
机に向かって勉強しながらアイーシアと話していた。
残りの時間をどう使うか。
迫り来る刻にどう備えるか。
最も安全にはやてを救うにはどうすべきか。
そして、何より………
ガチャッと部屋のドアノブが開けられて入って来る少女であり、オレの恋人であるフェイト。
「智哉さん、何してるんですかぁ?」
先日色々あってからと言うもの、フェイトは今までの遠慮していた感が無くなった。
そのお陰で、ここ数日はもうオレにベッタリ。
今だってオレの傍まで駆け寄って来て、両腕を右腕に絡ませている状態だ。
まあ、ベッタリなのは全然オレ的には問題無い。
寧ろ嬉しいくらいだ。
なんだが……………………
これだけ一緒に居たら、っつーかくっついていたら何時か飽きると思う。
どうなるのかなど、容易に想像出来る。
そんな事を思いながら苦笑しつつ答える。
「大学の勉強を少し、ね。余りサボると後々大変な目に遭うのは目に見えてるからさ。」
フェイトは机の上に広げてある教科書が気になったのか、少し覗き込むように顔を出した。
少々の沈黙の後。
「……何が書いてあるか、さっぱり解らないです」
思った通りの答えが出てきて、オレは笑ってしまった。
ここで笑うと必ずフェイトが顔を膨らまして怒るのだが、毎回毎回どうにも堪える事が出来ない。
「ああ~、また智哉さん笑いましたぁ!……フンだ、どうせ解りませんよぉ。」
そう言って拗ねてしまったフェイト。
だけど、オレの腕は決して離そうとしない。
そんなギャップもフェイトのとても可愛い一面。
思わず抱き締めたくて、膝の上にフェイトを乗せる。
そして…………
むぎゅうううぅぅぅううう!!!
っと音が鳴るのではないかという位抱き締めた。
そんなに強く抱き締めたら苦しいだろうと思うかも知れない。
しかし、フェイトはその位で丁度良いと言うのだ。
まあ、最初はやはり少々苦しかったようだが。
フェイトの体温を感じながら、オレ達は暫くそうしていた………。
夕方。
フェイトがそろそろ夕食の支度をするからと、オレの膝の上から下りて一階の台所へ行った。
椅子の背もたれに寄り掛かる。
ボーッとした。
その時頭に思い浮かんだのが先程の心配事だった。
ボーッとしながらも本当に他にはもう無いのかと考える。
………………
……………
…………
………
……
…もう一つあった。
これは正直同じ位…………いや、寧ろこれこそ最も心配するべき事だった。
それは、オレの命の炎が消えた時……正確には、消えようとしている時からだろう。
どうなるのかなど、容易に想像出来る。
その時だった。
≪智哉様、やはり残されてしまうフェイトさんの事が心配……ですか?≫
「……そうだね、心配じゃないって言ったら嘘になるかな。先日の事があってから、フェイトの遠慮していた感が消えた分、オレが死ねば受けてしまうショックも今までとは比べものにならないだろうから。」
≪智哉様、あの……≫
少しの間が空いてから、アイーシアが何かを言おうとして来た。
その先の言葉は何となく、いや殆ど確信を以って判ったから、オレはその言葉を遮るように少し強い口調で話し掛ける。
「アイーシア」
≪……はい≫
沈んだ声。
やはり言わんとしていた事が当たったようだ。
「前にも言った筈だよ?オレの命は君と契約してる間だけのもので、オレが今生きている代わりに君の目的を果たす事。ここまで生きて来れたのも君のお陰、フェイトと出会う事が出来たのも君のお陰なんだ。感謝はされど、我が侭やら何やらを君が言われる筋合いなんて無いんだ。」
前にも同じような事でこんなことを話した。
その時と同じようにオレは微笑みながら話す。
ただ、二つだけその時と違った。
一つは戦場だった事、そしてもう一つは思念通話ではなく、オレがこうして直に話をしている事。
…まあそれ以外に、天上を見つめながらってのもあるにはあるが。
≪…智哉様にとっては、余計な事…でしたね。申し訳ありません。智哉様の決心を揺らがせてしまうような事を言ってしまって。≫
アイーシアは本当に申し訳無さそうに謝罪を言う。
オレは気になどしてないよ、と答えた。
≪ふふふ≫
アイーシアも恐らくオレの返す返事など分かりきっていただろう。
だから笑った。
暗い顔、悲しい顔、寂しい顔、辛い顔。
そんな表情をされるより、笑っている顔の方が絶対に良い。
それはアイーシアにも言える事。
オレは時々彼女の姿を見えることがある。
彼女は何時もデバイスだと言い張るが、オレには決してそうは思えない。
彼女という単語を使っていることから察しが付くだろう。
オレの見る、アイーシアの姿は女性だった。
名前からも女性と思えるのもそうだが。
後ろ姿しか見たことは無いが、長く綺麗に整った髪の束が真っ直ぐ背中に沿っている様は美しいの一言だった。
そして、何よりも澄み渡るような一点の曇りも無い、青空の如き髪の色。
一人思いに耽っていると、下からフェイトの声。
「智哉さぁ~ん。出来ましたよぉ~。」
どうやら夕飯の支度が終わったみたいだ。
オレは椅子から立ち上がり、アイーシアを何時ものように首から提げ、一階に下りて行った。
その後は他愛も無い話をしながらフェイトの愛が沢山籠もった手料理を堪能したりして一日を終えたのだった………。
突然だが、それは昼過ぎにそれは起こった。
(……何だって!?はやてが倒れた!?)
突然の念話だった。
オレももう歩くのは勿論、走る事も問題無くなった。
魔力もそこそこ回復している。
余りにも暇だったので、闇の書の件やはやてに会いに行く予定を話し合おうかと思っていた矢先の出来事だった。
(……分かった、直ぐ行く!場所は?………了解!)
場所をシグナムに教えて貰い、自分の部屋を飛び出したオレ。
ドタドタと階段を下りて来たオレに対して、フェイトは不思議そうな顔で話し掛けて来た。
「……智哉さん?どうしたんですか?そんなに慌てて。」
「はやての容態とかフェイトの学校の事とかやる事ごっそりあるの忘れてたからさ!今からでも少しやっておこうと思ってね!」
そう言いながら、オレは玄関で靴を履く。
「フェイトはちゃんと家に居るんだよ?夕方までには戻るからさ。じゃあ、行って来る!」
何時もなら、フェイトのいってらっしゃいを聞いてから出掛けるのだが、今はそんな猶予は無い。
そのまま家を出た、と言うか飛び出した。
「うん、大丈夫みたいね、良かったわぁ」
「はい、ありがとうございますぅ」
「はぁ。ホッとしましたぁ。」
「せやからぁ、ちょお眩暈がして、胸と手が攣っただけやて言うたやん。もぉ、皆して大事にするんやからぁ。」
「でもぉ、頭打ってましたし~……」
「何かあってはからでは大変ですから」
「はやて!良かったぁ。」
「まあ、来て貰ったついでに、ちょっと検査とかしたいからもう少しゆっくりして行ってね。」
「はぁい」
そんな家族の会話がされている時。
「はぁはぁ…は、はやて!!!………はぁ、大丈夫か!?容……態……は……?」
廊下は走らないようにと注意されて。
院内では大声は出さないようにと注意されて。
受付の人には落ち着いて下さいと言われて。
ここに来るまで、かなり恥ずかしい思いもした。
が、それも早くはやての容態を確認したかった為。
だからこそ、我慢出来た。
けれど………
いざはやての部屋に入ってみるとどうだろう?
何とも言い難いこの雰囲気。
オレ一人だけが息を乱して、慌てた姿で。
全員がオレの方を向いて、何事だとでも言いたげな表情をしているではないか。
「………智哉さん、どないしたん?そない慌てて。うちなら心配ないで?」
終いにははやてに苦笑されながら言われる始末。
途端に恥ずかしさが込み上げて来た。
そして、オレにこんな恥ずかしい思いをさせる原因を生み出した張本人である、シグナムを睨んだ。
思いっ切り。
力の限り。
すると、シグナムはオレの視線に気付く。
一瞬どうして睨まれているのか解らなかったようだが、直ぐに思い当たる節が見つかったのだろう。
(…すまない。後でお詫びをしなければならないな。)
目を瞑り、念話でそう謝って来た。
何時もは気にするなで終わらせるのだが、今回ばかりは色々恥もかいてしまった事だ。
その言葉に甘えよう。
そう決心した。
「さ…さて、と。とりあえずシグナムさんとシャマルさん、それに……」
「……え?オレですか?」
「あ、はい。貴方もはやてちゃんの関係者みたいなので、少しお話に付き添って頂こうかと思ってだんですが、宜しかったかしら?」
「ええ、特に問題は無いので構いませんよ?」
そう言うと、はやての担当医であろう女性医師は部屋の外へ出た。
呼ばれたオレ達はその後に続いて部屋を出る。
はやては不思議な顔をしていたので、直ぐに戻るからと一言掛けておいた。
「今回の検査では何の反応も出てはいないのですが、攣っただけ、という事は無いと思います。」
「はい……、かなりの痛がり様でしたから」
「麻痺が広がり始めているのかも知れません。今までは、こういう兆候は無かったんですよね?」
「と、思うんですが……。はやてちゃんは痛いのとか辛いのとか隠しちゃいますから。」
「発作がまた起きないとも限りません。用心の為にも、少し入院して貰った方が良いですね。大丈夫でしょうか?」
シャマルは入院した方が良いと聞いて、不安そうな表情をしながら、オレやシグナムの顔を窺う。
シグナムは目を瞑り何かを考えている様子だった。
「…そうですね、私はそうした方がはやての為にも良いかと思います。まあ、最終的には一番はやての近くに居る二人が決めるべきではあると思いますが。」
そう言いながらオレもシグナムの様子を窺う。
するとシグナムの口からも、はいと一言。
オレにはこの際仕方無いと思ったのが見て取れた。
部屋に戻ったオレ達。
暫しの沈黙の後、オレが簡単に先程の内容をはやてに伝えた。
二人が中々切り出さなかったから。
「入院?」
はやてがそう返す。
「…えぇ、そう…なんです」
シャマルが言い辛そうにそう伝えると、はやては曇った表情に変えた。
ヴィータもはやてを心配そうに見つめている。
「あ、でも検査とか念のためとかですから、心配無いですよ、ね?」
シャマルはそう言って、丁度花瓶に水を入れて部屋に入って来たシグナムに無理矢理話を振った。
表情の曇ったはやてを安心させる為に。
シャマルの意図を解っていたシグナムは普段通り、落ち着いた表情で、はいと答える。
しかし、はやての口から出た心配は別のところにあった。
「いや、それはええねんけどぉ………あたしが入院しとったら、皆のご飯は誰が作るんや?」
そう。
食事だった。
オレは何故はやてがそんな事を心配する必要があるのか解らなかった。
普通、この場に居合わせた者ならばそんな事は心配しないだろう。
どう考えたってシャマルが居るのだから。
外見が子どもである、ヴィータはまあ置いといて。
シグナムが百歩譲って出来なかったとしよう。
しかしだ。
シャマルに料理が出来ない等と言う欠点は何処にも見当たらない。
寧ろ、それどころか普通に八神家の家事全般を一任されていると思っても、何ら不思議ではないだろう。
実際、この場に居るオレもそう思っている内の一人なのだ。
だが事実、はやての口からその様な心配事が出てしまったのだ。
「うぅ……」
ヴィータも少しの間を置いて、唸っている。
「そ、それは……まあ、何とかしますから」
あのシグナムでさえ、目の動きが変だった。
キョロキョロしながら、そして声も何時もの落ち着いた雰囲気のものでは無かった。
「そうですよ、大丈夫ですよ……多分」
シャマルに至っては、言葉の最後に”多分”をつけてしまっている。
それも苦笑いしながら。
全員思わぬ事をはやてに突かれてしまったのか、何時もの感じでは全く無かった。
はやてはう~んと少し唸っていたが、ヴィータが横から声を掛けた。
「毎日会いに来るよ!だから……大丈夫」
オレには最後の方だけ声が沈んでいるように聞こえた。
ヴィータも不安なのだろうか?
だが、それもこれも全ては主がはやてであるからなのだ、と改めて思う。
「ヴィータは良え子やなぁ。せやけど、毎日やのぉても良えよ。」
はやてはヴィータの不安を取り除こうとするかのように頭を優しく撫でる。
オレがフェイトにしてあげるように。
「やること無いし、ヴィータも退屈やん」
「う、うん……」
図星だったのか、ヴィータはまた唸る。
少しの沈黙の後……
「ん~、ほんなら私は三食昼寝付きの休暇をのんびり過ごすわぁ」
そう言って三人を安心させようとしたはやて。
だったのだが、束の間。
「あかん!すずかちゃんがメールくれたりするかも!」
どうしよう、と困った顔をした。
オレはそんなはやてを見て笑ってしまった。
「…あぁ!智哉さん笑ったぁ!酷いなぁ、もぉ。友達は大事にせなあかんねんでぇ?」
頬を膨らませて怒るはやて。
だが、そんな表情ですら可愛く見えてしまい、更に笑ってしまう。
それと同時に、はやての表情はフェイトと似ているなとも思った。
「…ふふ、大丈夫です。私が連絡しておきますよ。」
オレがはやてに怒られているところを見たシャマルも苦笑しながらはやてにそう言った。
「あぁ!シャマルまで笑ったぁ!」
暫くの間はやての病室からは笑いが絶えなかった……。
それから暫く経ち……
「では、戻って着替えと本を持って来ます。ご希望がありましたらどうぞ。」
「う~ん、何にしようかなぁ?」
少し唸るとはやてはシグナムに持って来て貰いたい本を何冊か言う。
「んじゃ、オレもそろそろ戻るかな」
「ん?智哉はまだ残っていても構わないんだぞ?」
シグナムの言葉は嬉しかったが、オレも夕方までには帰る約束をしているのを伝えた。
オレ達は揃ってはやての病室を後にした。
病院の入り口を抜けた時。
ヴィータの足が止まった。
病院の方を心配そうに見つめている。
傍にヴィータが居ないことに気付いたシグナムはヴィータを呼ぶ。
シグナムの声に一瞬遅れて反応したヴィータは小走りでオレ達に追いついた。
そして、またオレ達は歩き出したのだった………。
その後、オレはフェイトの通う、私立聖祥大付属小学校に連絡をした。
担任には色々聞かれてしまい、何とか言い逃れをして凌いだ。
とりあえず、明日から通わせることに。
その事をフェイトに帰ってから伝えると、少し複雑な顔をした。
まあ、無理も無いだろう。
今まで……いや、ついこの間まで一緒に学校へ登校したり、一緒に魔導師として戦ったりした親友である、なのはこと高町なのはと会うことになるのだから。
理由はどうであれ、不覚にもフェイトがオレを連れて管理局の下を離れてしまったのだ。
明日なのはと会えば、何かしらの問題が起きても不思議ではない。
オレは唯一にして最大の問題を、フェイトに任せる事しか出来なかった。
それと最後にごめんね、と付け加える。
フェイトはオレの気持ちを察してか、気にしないで下さい、と笑顔を見せてくれた。
「……えと、智哉さん」
少しの間を空け、そう切り出して来たフェイト。
「どうしたんだい?」
フェイトが話し易いように配慮しながら話し掛ける。
すると、先程の笑顔が何処かへ消えてしまっていた。
それどころか、何やら俯きモジモジしているではないか。
不思議に思ったオレはもう一度フェイトに声を掛ける。
「……フェイト?」
「…え?!あ、え……と、そのぉ…」
モジモジした感じは治まりそうに無い。
オレは思わず苦笑しつつもフェイトに話す。
「何を言いたいのかは判らないけど、落ち着いて話してごらん?」
その一言で少しは落ち着いた様子。
そして、フェイトはオレの目の前で大きな深呼吸をする。
その深呼吸を目の前にして、一応オレも胆を据わらせてみた。
「一つだけ………、お願いが…あります」
「そのお願い、しっかり聞こうか」
「その………少しの間、一緒に……寝て……くれません…か?」
言い終えたフェイトの頭からは湯気が出ているような気がした。
今の、たった今の一言だけでも、フェイトには相当な勇気が必要だったに違いない。
オレは苦笑しつつ、頑張った小さな愛しのプリンセスに言ってあげた。
「承知いたしました。私が愛するたった一人のプリンセスのご要望とあらば、是が非でも叶えて差し上げましょう。」
その言葉でプリンセスは顔を上げる。
挙げた顔は真っ赤だった。
しかし、そんな姿をもプリンセスはオレに綺麗だと思わせてしまう。
これは正直な感想。
決してお世辞ではない。
……まあ、こんな事を考えてしまうオレは重症なのかも知れないがそこは伏せておこう。
仕方ないのだ。
未来の嫁であろうフェイトが、愛するプリンセスが可愛過ぎるから。
オレはプリンセスの願いを聞き入れ、今夜を共にした……。
~後書き~
第25話の終わりですw
如何だったでしょうかね?ww
今ふと思ったんですが………
久々に1週間以内の更新だw
今回はそこそこ良いペースで進んでましたw
この調子が続く事を願うばかりです、はい………w
名も無き世界へようこそ。 ここには主に日常の日記、野球関連の事柄、アニメの感想を載せています。 また、最近二次創作SSも書き始めました。 良かったら読んでいってくださいw 読んだらコメント書いてくれるとメチャ嬉しいですw 宜しくお願いしますwm(_ _)m
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